2023年8月1日火曜日

2023/07/31 ニース第二日

 ニース二日目、授業開始の日。よく眠れた。朝6時半ごろに目覚める。

早めに学校に行って、おそらく緊張して最初の登校をするだろう学生たちを迎えるつもりだったのだが、学校方面に向かうトラムがなぜか途中までしか運行していなくて(心疾患の病人がトラム車内で倒れるという事故があったため、ということを帰宅してから家主のAnnickに聞いた)、別のルートで学校には到着したものの10分ほど遅刻しての到着になってしまった。
学生たちはすでに校舎内の教室で、レベル分けテストを受験中だった。学校の運営スタッフは3年半前とはかなり変わってしまっていたが、運営スタッフの中核のエリックは残っていた。校舎の入り口で3年半ぶりにエリックに会う。教員スタッフの中核であるアントニオもいた。久々にこうして再会できただけで、無性に嬉しくなる。教員にはほかにも数人、三年半前のスタッフが残っていた。
前回のフランス語教育研修は2020年2月後半に実施したのだが、私たちのグループの滞在二週目に、新型コロナのせいでカーニバルが中止になり、北イタリアの都市が閉鎖された。そして私たちのグループが学校を去った直後に、フランス全土は強制的な「引きこもり」状態になったのだ。それを思うと、3年半の空白を経ての旧知のスタッフとの再会はやはり格別のものがある。
新型コロナ禍のもとでは、Azurlinguaのような私立の小規模の語学学校はとりわけ厳しい状況にあったはずで、よくぞこの困難な時期を乗り越えて存続したものだと思う。この三年の状況を聞いてみると、2020年から21年にかけてはもっぱら遠隔授業だったが、フランスでは昨年あたりからはほぼ学校の状態は通常運転に戻っていたそうだ。
例年、多くの生徒が近隣のヨーロッパ諸国からやって来る夏のバカンスシーズンには、collège-lycée複合校の広大な校舎と敷地を借りて授業をやっているのに、今年の夏は本校舎での授業実施になっていたので、生徒がまだ集まらなくて苦しい状況に陥っているのではと私は懸念していたのだが、そうではなかった。
この2月ごろから続々と受講生が増え、この夏のバカンスシーズンには「爆発的状況」だったと言うのだ。そのため生徒に対して、先生の数が足りなくなってしまったようだ。例年の会場だったcollège-lycée複合校敷地を夏期講座で利用しなかったのは、7月に大きなテニストーナメントがその学校の敷地であったため、借りることができなかったという事情があったからだと言う。
日本では新型コロナ以降、円安や航空券高騰もあって、海外に行こうという機運が弱まっている感じがあるが、ヨーロッパでは「ようやく、コロナが終わった、さあどんどん外に出て行こう」という雰囲気になっているらしい。
こうした急激な受講生の増大のためだと思うが、授業プログラムも変則的になっていて、生徒群を大きく二グループにわけ、これまで標準コースは午前中に授業に行い、午後に遠足などを入れていたのを、一日置きに授業を午前にやったり、午後にやったりするかたちになっていた。こうした変更の説明は事前にまったくなかったので、最初に聞かされたときは「一日置きに午前中に遠足なんてどうかしてるのではないか?」と思ったのだが、学校としてはやむを得ない方策のようだ。しかしそれならちゃんと、最初の問い合わせから何度もやりとりしているのに、事前に説明してくれよ、と思う。
私たちの研修費用には朝昼夜の三食が含まれているプログラムのはずだが、先週木曜日にエリックから「今回はミキオのグループには昼食の予約が入っていないけど、それで間違いないか?」というメッセージが届いた。「昼食込みで申し込んでいる。それは学校の事務の間違いだ。確認してくれ」と返事を出したのだが、結局エリックからは返事が来ないままだった。今朝、エリックと再会したときにこの件について聞くと、「これから確認する」とのこと。結果的にはいつも使っている共同食堂(cantine)は工事中で利用できないので、学校から1キロほど離れた町の中心部のレストランで昼食を取ってくれ、とのことだった。こんなことはこれまでなかった。なんでまたこんな遠くのレストランに、と思ったがしかたない。「ちゃんと我々の席は予約できてるんだろうな? お金は学校持ちということもちゃんと伝わっているんだろうな?」と三回確認する。

今日の午前中は、最初の日なので学生たちはレベル分けテストだけで終わった。例年はレベル分けは、オラルで二三言応答するだけの簡単なものなのだが、今回はペーパーの試験とオラルの試験の二つでクラス分けを行っていた。
私たちの昼食のために学校が確保したレストランは、ニースの中心部のにぎやかな場所にある。思いのほか、きれいでお洒落で感じがいいレストランだったが、まあ、ごくありきたりの観光地レストランといった感じの店だった。幸いちゃんと店側に私たちの昼食の話は伝わっていた。リゾットかパスタかどちらかを選んでくれと言われる。私はリゾットを選んだ。それなりに美味しかったが、まあ普通の味。ボリュームはまあまああったが、前菜がなく、リゾットだけというのが物足りない。毎日同じメニューだったら嫌だなと思う。こんなといってはなんだが、こんな平凡なごはんでも、こちらのレストランでは15−20€ぐらいは取るだろう。
昼食の件も、こちらのリクエストがちゃんと伝わっていないし、変更についての連絡は事前に何もない。「工事」というのも本当かよ、と実はちょっと思っていたりする。先週私がクレームをつけたので、急遽、適当な代替手段を探したのではないかという気もする。フランス相手にビジネスすると、どうしても疑心暗鬼にならざるをえない。
昼飯を食べた後は、午後のエクスカーションの時間まで各自ばらばらに過ごすようにした。
午後はエクスカーションでニース旧市街を散策し、評判の高いお菓子工房フロリアンの見学をした。このエクスカーションの参加者は私たちのグループ11名プラス単独で受講しているヨーロッパ人の受講者7−8名だった。ガイドはAzurlingaで数ヶ月前から働き始めたというLauraという若い女性スタッフ。気温は30度を超えていて、炎天下とはいえないかもしれないが、日光の下を歩いて入ると暑さでバテるし、喉が渇く。フランス人はとかく早足でガツガツ歩く人が多いので、事前に「私は身体が弱いから、優しく歩いてくれ」と頼んでおいた。15時前に学校を出発して、旧市街の入り口当たりを一回りしたあと、ニース市街を一望できる「城山」に昇る。私はエレベーターを使ったが、私以外の若者たちは歩いて登った。お菓子工房Florianはニースでは人気の老舗で、チョコレートと花びらや果実を使った砂糖菓子で名高い。天然の材料だけを使って、手間と長い時間をかけて作ったお菓子の数々は、どれも美味しくて、見た目の洒落ているが、値段はかなり高い。あの材料と手間を知っていればこれらのお菓子のありがたみは増す。工房を見学したあとは、商品試食と販売の時間である。私はお土産用のお菓子を何点か購入した。
学校主催のイベントとして、このあとさらにウェルカムパーティが学校内で行われるとのことだが、私がまず疲れていたし、学生たちもけっこう疲れている感じだったので、このパーティ参加はパスした。学生たちとすれば他の国々からやってきた若者たちと親しくなれる機会だったかもしれないのだが。男3人組はガリバルディ広場からトラムで家に戻った。私は他の女性7人を先導して、ニースの旧市街の路地を案内した。ニースはやはり旧市街が素晴らしい。本当は夏の夜のこの旧市街の賑わいを見せて上げたいし、旧市街の路地にあるレストランで食事も楽しんでもらいたいとは思う。これぞバカンスのニースの醍醐味だと私は思うので。ただそれは私の体力と学生たちがどれだけ「いい子ちゃん」かである次第だ。ニース研修をはじめて二年目のときに、旧市街のライブハウスにジャズを聴きいったときのことを思い浮かべる。楽しかったなあ。大変だったけど。

帰宅は7時半ごろ。夕飯はキッシュ、サラダ、チーズ、そしてデザートとして手作りのレモンケーキだった。A nnickは料理が上手だ。しかしこのフランス風の料理は確実に私の体重を増加させてしまうだろう。
夕食時の雑談。最近、特にフランスの若者のあいだでエコロジー志向が強くなり、その影響で冬のフランスのレストランの野外テラス席での暖房が昨年から禁止になってしまったとのこと。冷房、暖房は、戸の閉まる密閉された空間でないとエネルギーの無駄遣い、エコではないということで、こうなったそうだ。Annick曰く、今のフランスはエコロジー推進とLGBT問題を全面に出す急進左派と移民排斥のナショナリスト極右に二極化しているとのこと。

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