2026年2月16日月曜日

ニース研修2026第0日

 2026/02/14(土)第0日

学生を連れてのニース語学研修旅行を初めて実施したのは2015年2月だった。その後、新型コロナ禍で2021年と22年に中断があったが、今回で10回目の実施となる。
これ以外に2014、15、16年の夏には、Azurlinguaで行われたフランス語教員向けの研修で2週間ずつニースに滞在している。つまり、この12年間で13回、2週間ずつニースに私は通っていることになる。この頻度になると、感覚としては「里帰り」に近い。
さすがに新鮮味は全くないのだけれど、ニース語学研修旅行は、語学学校とのさまざまな交渉を通して、フランス的なリアリティと私を対峙させてくれる貴重な機会で、フランス語教員としての私を鍛えてくれるし、私のフランス語コミュニケーション能力もこの研修旅行を通じてなんとか維持されていると言ってもよい。こうした経験をしているからこそ、教室でも自信を持ってフランス語やフランス文化を教えることができている。私にとっては非常に重要なイベントである。
新型コロナ禍以降の実施は、ウクライナ戦争による航空運賃の高騰、現地の物価上昇、そして円安によって、それまでの1.5倍のコストがかかるようになった。毎年、自分のフランス語担当クラスや何人かのフランス語教員同僚に頼んで募集の声かけをしているが、幸い2023年以降も12名以上の参加者を集めることができている。
昨年は16名だった。この研修の参加学生は基本的にみないい子ちゃんばかりで、手はかからないのだけれど、16名になると、集団での移動やトラブルがあったときの学生のケアが若干大変だった。そこで今年は14名定員で募集をかけた。円安が進行しているので果たして学生が集まるだろうかと思っていたが、予想外に申し込みがあり、今年は18名の学生と一緒にニースに行くことになった。男子学生が5名、女子学生が13名。学生は現地では2名ないし3名のグループでホームステイする。私もホームステイだ。
昨年、語学学校Azurlinguaの経営権が米国の教育業者に譲渡された。スタッフはこれまでのメンバーが引き続き雇用されていたものの、会計処理など申し込み段階でいくつかトラブルがあった。また、学校が契約しているホストファミリーと学校、そして私との間でもコミュニケーションの齟齬があり、これによるトラブルも発生した。
組織体の事務管理部門の仕事のゆるさは、この学校に限らず、おそらくフランスのいたるところで見られる病理のようなものだ。あらゆる怠慢やミスが「大したことないよ(Ce n’est pas grave)」で流されてしまう。こちらのミスやいい加減さにも寛容ではあるのだけれど、トラブルが生じたときは、しっかり抗議して対処を求めないと、まずそのままにされてしまう。
フランスでは仕事関係で何かを依頼した場合、全幅の信頼をするのはリスクが大きい。この研修での経験で、常にダメだった場合のことを想定しておくという癖がついた。これはけっこうストレスだが、フランスに鍛えられた一面でもある。トラブルは厄介だけれど、生じると「来たな!」とアドレナリンが出る感じだ。プロセスは想定通りでなくても、最終的に目指す地点に近いところにたどり着けばいい。これは私がフランスで学んだことのひとつである。
ホストファミリー選定のリクエストは、アレルギーやペットの有無の確認など毎回かなり細かくやっていて、できる限り前回の滞在で学生たちの評判が良かった家をお願いしている。ただ今回は、飛行機のチケットの関係で帰国日が月曜日となってしまったためか、前回に引き続きの家庭は一つだけだった。
学校の授業は月曜から金曜の1週間単位で、授業開始の月曜の前日の日曜にニースに入る生徒が多い。そのため、ステイ先のチェックアウトは土曜ないし日曜が基本なのだ。ニースのこの学校の受講生の構成は時期によってかなり変わるが、イタリア、ドイツ、スイス、スペインなどのヨーロッパ内の国々から、1週間ないし2週間の期間で受講するのが大半だ。日本など遠方から毎年定期的にやって来るグループは我々だけのはずだ。
学校の規模は小さく、この時期の受講生はおそらく50〜60名だと思う。ニースに数ある外国人向けの私立の語学学校の規模は、だいたいこんなものだろう。
この研修では学校が契約している過程で、分散して滞在する。滞在先がバラバラになると学生の活動を管理しにくいし、ステイ先により相性や、言い方は良くないが、当たり外れはあるので、できれば全員まとめて同じ寮やホテル滞在としたいところなのだが、そうなれば滞在費が高くなってしまう。二食付きのホームステイが一番安上がりなのだ。
そして何より、ホームステイだからこそ知ること、学ぶことができるフランス生活のリアルがある。私もニース滞在中、これまで複数の家庭に滞在したが、ホームステイしたからこそ知ることができたフランス人の考え方、生活習慣、価値観、そしてフランス語表現は多数あった。外国人の他人の家での滞在となると気も使うし、ストレスもあるのだが、学べることは多い。
昨年に引き続き私たちのグループを受け入れてくれた家庭は、もう5、6回にわたって私の学生を受け入れてくれている老夫妻だ。私とは気心の知れた仲で、Facebookでの交流も続いている。いかにも南仏の下町の気のいいおばさん、おじさんという感じのフランスっぽい善良さに満ちた夫婦で、この家庭には安心して学生たちを託すことができる。

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