2017年3月12日日曜日

レンヌ・カン・パリ2017春(7)3/11

宿舎で遅めの時間に朝ごはんをたっぷり食べて、昼間はフランス国立図書館の研究用閲覧室で勉強して、夕方いったん宿舎に戻る。途中で焼き栗を買って、ぽりぽり食いながらかえった。中華料理店で午後7時前に飯を食べたあと、トラムに乗って芝居を見に行った。最高にシニカルで刺激的で面白い芝居だった。
今日は誰とも話さない日だった。しかしこんな生活は夢のような生活と言えるのではないか。静かで平穏で、そして自分の好きなことしかしていない。労働しないというのは素晴らしいことだ。専任教員になって研究休暇を取ることができれば、こんな生活を一年間続けることができるのだ。何ということだろう!
残念ながらこうした夢のような生活はあと数日で終わりだ。来週の水曜日には帰国する。

パリでは芝居を見る予定は全く入れていなかった。日本出国前からオーバーフローの状況で芝居の検討をする時間がまったくなかったのだ。ニース滞在中もなんやかんやで時間の余裕がなかった。
ニースで地中海難民を扱った『エスペランサ』という優れた舞台を見て、そのあとカーンで竹中香子さんが出演しているヴァンサン作・演出の『夢とメタモルフォーゼ』を見た。そして昨夜、『夢とメタモルフォーゼ』に出演している俳優が作・演出をしている『夫婦間暴力の風景』という作品を見た。いずれも見ごたえのある秀作ばかりで、やはりせっかくパリにいるのだから滞在中は芝居をできるだけ見てみたいと思うようになった。劇場でもらった無料の演劇情報誌『La Terrasse』をめくると、さすが演劇の国、そしてスペクタクルの町パリ、日本ではまず見られないような面白そうな演目が目白押しだ。

今夜は15区の端、ブラッサンス公園のそばにあるモンフォール劇場で、26000 couverts(2万6千人分の食器という意味)の「よく考えてみると」A bien y réfléchirという作品を見に行った。これも竹中さんに今、パリで話題になっている舞台として教えてもらったものだ。このユニットについては私は全く知識がなかった。モンフォール劇場は1000人ほどの収容人数があると思われるかなり大きな劇場だ。20時半開演だが、20時頃行くと劇場附設のカフェでたくさんの人が食事をとっていた。その劇場が満員になっていた。徹底したメタ演劇性にこだわったマトリョーシカ人形のような入れ子構造の作品。ナンセンスでシニカルでばかばかしい笑い満載だが、知的で挑発的な仕掛けに満ちている。最高の芝居だった。パリで芝居を見るならやはりこういうものを見ておきたい、といった感じの芝居。
大満足。

0 件のコメント:

コメントを投稿