2024年3月2日土曜日

2024/3/1 ニース第14日

Azurlinguaでの授業最終日。私たちは明日の朝、TGV INOUIでパリに向かう。

Azurlinguaで最初にこのような語学研修旅行を行ったのは2015年2月である。その前年の7月に日本フランス語教育学会からの推薦でAzurlinguaのスタッフが関わっているフランス語教員向けの研修に参加したのがきっかけだった。この教員向け研修のとき、「日本から学生を連れて来られないか?」とAzurlinguaのスタッフに問われたのだ。そのときは自分がこういう研修旅行を企画・実施できるとは思ってなかったのだが、帰国後、いくつもの偶然が重なって、翌年の2月の同じ時期に学生12名を連れてAzurlinguaでの語学研修旅行を行った。飛行機のチケットの手配や学校とのプログラムの打ち合わせなど、すべて私一人が行うオーダーメイドの研修になった。新型コロナの2021年と22年を除いて、それ以降、毎年、10名から15名の学生をニースに連れてきている。Azurlinguaのスタッフで9年前から現在まで残っているのは3人だけだ。振り返ってみると、最初のころと今では、学校と私の関係もだいぶ変わったなあと思う。かつてのAzurlinguaの親密な雰囲気をなつかしく思う。

午前11時すぎに学校に到着。事務所に行って明日の朝の送迎についての確認を行う。空港ないし駅と各ステイ先のあいだの送迎は学校に支払った費用に含まれている。いつもは空港なのだが、今回は鉄道駅への送りになる。一昨日にこちらから送迎の手順について伝えていたのだけど、今日の朝まで学校から何時に誰がどの家に向かうのかについて、連絡がなかった。こうしたことをいちいち確認しなくてはならないのが、面倒なところだ。「終わりよければすべてよし」ではあるが、安心して任せたままにはできない。Azurlinguaと仕事するようになって、仮にうまくいかない場合(けっこうある)はどうするのか、を常に考える癖がついた。

今回は参加者のほとんどが大学一年生だったので、私たち日本人だけで1クラス作って貰った。他の国からの学生たちと混じったクラスの方がダイナミックで刺激的なのだけど、欧米人はフランス語レベルがA1-A2と言っても、日本人よりはるかにおしゃべりだ。今回は12人のうち一人だけ、他の学生に比べてフランス語のレベルがあきらかに高い学生がいたので、彼女は二週目には別のクラスに移動した。

日本語クラスの担当者はあらかじめ要望を出していた。Azurlinguaでは日本人の「団体」は私たちくらいしかいないし、そもそも日本人の受講生を受け入れた経験がほとんどない。イタリア人や他のヨーロッパ人の若者を教えるのと、日本人の若者たちを教えるのでは、大きな違いがある。われがちに話そうとするイタリア人とは対極的な、日本人学生のメンタリティにうまく適応できなかった先生も過去にはいた。今回担当をリクエストしたBlandineは数年前に私の学生ととてもいい関係を築くことに成功していた。今回の学生たちともいい雰囲気で2週間の授業が行われていたように思う。授業の最後に少しだけ教室の様子を見学した。学生たちはフランス語の歌を歌っていた。私も授業で学生に歌を歌わせるのだけど、人前で間違うことを極度に恐れる学生たちに声を出させるのはけっこう大変なことだ。授業終了後、Blandineを交えて集合写真を撮った。

午後は学校側のイベントはなし。みきお企画でエズ村への遠足を提案したところ、参加者は12名中2名だった。5名はすでに到着翌日にエズ村に独力で行っている。他の学生は洗濯などをするとのこと。

エズ村にはニースの中心から路線バスで行くことができる。このバスは通常は82番なのだけど、Google mapで検索したところ、それが602番のモナコ行きに乗ることを勧めてくる。しかもこの602番に乗ると、運賃が82番の2倍になるのだ。モナコは通常の路線バスとはちょっと違う長距離線なので運賃が高くなるのだろうが、このバスでエズ村で降りる場合も82番の2倍の運賃を払わなくてはならないのか。よくわからなかったので乗車前に、駅前のツーリスト・オフィスに行って聞いた見た。すると平日にはニースのバス・ターミナル駅であるVaubanから、82番と602番の二つの番号のバスがエズ村を経由していて、時間によってどちらかになる。エズ村で下車するのだったら、通常の路線バスの運賃でOKだということだった。フランスの公共交通機関は旅行者にはハードルが高い。とはいえ、日本の東京の公共交通機関はこれよりはるかに複雑か。

昨日の天気予報では午後は天気が崩れる可能性が高いとされていたが、雲は多かったものの幸い天気は悪くなく、エズ村の一番高台にある植物園の頂上から地中海を臨む素晴らしい眺望を楽しむことができた。エズ村には1時間ほどしか滞在せず、四時半ごろにニースに戻った。

家に戻ってシャワーを浴びてから、荷造りを行った。

家主のAnnickは来年三月末に彼女の友人3人と2週間か3週間の期間での日本旅行を計画している。日本滞在の際には私は精一杯彼女たちをアテンドするつもりではいるが、滞在の予算、特にホテル代について彼女がどう考えているのかがちょっと気になっていた。ちなみに彼女は旅行代理店に勤務していたこともあるし、年に2、3回の割合で海外を友人たちと旅行する旅慣れた人だ。インドやラオス、カンボジアなどのアジアにも何回も行っている。

彼女の旅行予算についての考えが知りたくて、東京滞在中は新宿ワシントンホテルへ仮に宿泊するとすればそれは予算的に大丈夫か?と聞いてみた。大体ひとりあたり一泊1.5万円ぐらいになる。円安とは言え、それは彼女が考えていたより高価だったらしい。彼女がこの五月に行くクロアチアのホテルがどんな感じなのか教えて貰ったが、写真を見る限り快適そうな高級感のある部屋で一泊5000円程度だった。カンボジア、ラオスあたりもそのくらいの値段なのだろうか。円安とは言え東京のホテルは、そういった国のホテルに比べると高価だ。しかしパリ、ニースの同じクオリティのホテルに比べると東京のほうがかなり安い。

ホテル代については彼女はちょっとショックだったようだ。3週間は滞在したい、できれば沖縄も行きたいと言っていたが、このホテル代ではせいぜい2週間の滞在にならざるを得ないとのこと。予算的にはAir BnBなどを考えたほうが現実的かもしれない。

この前の夏の二週間のニース滞在は学生がコロナになってその対応があったり、レストランでの外食や夜の外出イベントをけっこう入れていたので、二週間の滞在が長く感じられた。新型コロナ明けで久々に行った研修だったからというのもある。また夏のバカンス時期はニースも学校も人が多くて、学校のスタッフは疲弊していた感じがあった。

今回は最初の数日、自分自身の体調不良に悩まされ、しんどかった。結局自然に回復してしまったが、あの疲労感はいったい何だったのだろう。学校の遠足も私自身の企画イベントもたくさん入れなかったので夏に比べるとゆるやかに日々が過ぎていった。二週間はあっという間という気がする。

明日八時半に学校の担当者が迎えに来る。TGVに無事乗車できますように。パリでの四泊五日は思い切りベタベタの観光を楽しもうと思っている。無事に楽しくパリで過ごせますように。






0 件のコメント:

コメントを投稿