2017年2月27日月曜日

ニース研修春2017 (8) 2/26

平穏で幸せな一日だった。
日曜日で学校主催のプログラムはない。
この日はイタリアとの国境の町、マントンにレモン祭を見に行くことにしていた。昨年はじめて見に行って面白かったので。内容はパレードと展示で、パレードはニースのカーニバルとほぼ同趣向のものだが、レモンとオレンジを使ったオブジェが出るというのがマントンのレモン祭の特徴だ。今年で84回目の開催になる。

昨日のことがあったので、マントンに行くのが億劫な気分だったが、行くと約束したので行かなくてはならない。昨日夜中にLINEにごちゃごちゃ怒りのメッセージを残しておいたので、駅での待ち合わせで学生も多少神妙にしているように見えた。
マントンまではニースからイタリア方面にローカル線で40分ぐらい。ニース駅で列車は満員になった。モナコでだいぶ降りるだろうと思ったら、大半はマントンまで乗車していた。レモン祭めあての観光客みたいだ。

マントンに着いたのは11時15分ごろ。まず旅行案内所に行き、レモン祭のチケットを買う。レモン・オレンジを使った巨大オブジェの野外展示とパレードのセット券が17ユーロ。ニースのカーニバルも有料だが、祭なのに有料というのが南仏カーニバルのつまらないところだ。地元の人たちの祭というより、完全に観光客ターゲットの祭になってしまう。実際、ニースのカーニバルの観客に地元の人はあんまりいないと思う。ニースのカーニバルは昨年までは無料プログラムもあったが、今年は有料のみ。昨年夏のトラック轢殺テロで警備が厳しくなっていて、カーニバルの活気もいまひとつように思った。

最初に展示場を見てから、食事をして、それから14時半からはじまるパレードを見るつもりだったが、展示場の入場口はかなりの混雑だった。人がかなり多く、レストランも混雑しそうだったので、先に食事をしてから、そのあとパレード、最後に展示の順番にした。われわれのグループ14人で食事をできる場所を探すのは大変そうだったので、適当に分かれて飯を食うことにした。先週の木曜、モナコ遠足ではぐれた子は私の後ろをずっと追っかけている。私の後ろにくっついていくと決めたみたいだ。そのほうが私も安心だ。私はその子と彼女のルームメイトと旧市街の入り口にあるレストランに入った。メニューを見て値段を確かめていたら、引き入れられてしまったのだ。迷い子のルームメイトの子が昨夜ムール貝が食べたかったけれど食べられなかったので、ムール貝がメニューにあったこの店に入った。
天気がよかったのでテラス席に座った。二軒のレストランが小さな四角い広場に向かい合っていて、その真ん中ではクラシックギターを延々と演奏し続けるミュージシャンがいた。


私は魚のスープとムール貝、学生の一人はニース風サラダとムール貝(私と二人で分けるつもりで注文したのだったが、ちゃんと伝わってなくて二人前出てきた)、残りの学生はかものささみの胡椒ソース。魚のスープは大好きなのだが、食べるのは久々。濃厚でうまい。ムール貝はどこで食べても同じようなもんだと思っていたが、昨日食べた店よりもこの店のほうがおいしかった。貝自体がちょっと違う気がしたし、味付けが違う。鴨肉の胡椒ソースは一切れ分けてもらったが、これが「え!」と声が思わず出るくらい美味しかった。こっちを私も頼めばよかったとちょっと後悔。
いかにも観光客向けの雰囲気の店で、観光客が頼むようなメニューを頼んだだが、これが意外にうまい。値段も高くない。サービスもきびきびしていて気持ちよかった。
そして明るい陽光のテラス席、クラシックギターの演奏も聞ける。途中、フラメンコ・ダンスというスペクタクルもあった。バカンスの昼飯っぽい昼飯を楽しむことができて大満足。
食事後海岸に行く。淡いミルクが混じったような水色の海の色が美しい。マントンの黄色い建物の壁の色と青空とのコントラストも。旧市街の奥側の斜面のたたずまいやコクトー美術館もすばらしいのだけれど、今回は見に行く時間がなかった。


レモン祭パレードは14時半から90分ほど。パレードの山車はニースのものよりこぶりのものが多い気がするが、観客の楽しませ方はレモン祭のほうがうまいように思った。紙吹雪、コンフェティの量も大量だ。学生たちがパレードを楽しんでいる様子を見て、レモン祭に来てよかったと思った。私は個人的にはニースのカーニバル(特に今年のようにものものしい警備のもとで行われると)よりも万トンのレモン祭のほうが好きだ。
レモン祭のあとは、一キロほどの長さの広い敷地にいくつもの巨大なオレンジ・レモンの彫刻が並ぶ展覧会場に行った。
学生のなかにパレード入場での荷物チェックで、お土産としてかったレモン入りワインとレモン・シロップが瓶入りだっため、没収された者がいた。パレード入り口であずかり、あとで観光案内所で返却すると言われたという。ただし引き換え表も何ももらっていない。商品に彼女たちの名前も書いていない。こんなことで本当に戻ってくるとは思えなかったのだが、彼女たちに付き添いワインとシロップを取りに行った。最初、観光案内所に行くと、奥にconcierge(管理人室?)があるからそこに行けと言われる。行くと返却を求める人の行列ができている。
没収された商品の特徴を告げると、係員が探しに行った。結果的にはレモンシロップはあったけれど、一緒にあずけたはずのワインはないという。こんな適当なシステムで、所有者がはっきりしないものが戻ってくるほうが奇跡に私には思える。ワインはレモン入りでマントン特産のものだったらしい。学生はこのワインがあきらめきれなくて、この後同じ店に同じ商品を買いに行った。すると店のおばさんは学生のことを覚えていて、「なんで同じものをまた買いにきたんだ?」と聞いたらしい。事情を話すとおばさんは憤って、「私が話を聞いてい来る!」と言って店を出て、係員を問い詰めたそうだ。しかし結局、ワインは出てこなかった。









18時ごろ、まだ明るいうちにニースに戻る。
ステイ先の夕食は、前菜がタコがたくさん入ったサラダ。主菜がソーセージがたくさん入ったカレー風味のチャーハン。実においしい。おかわりをついしてしまう。



マニアは息子のエヴァンの宿題につきあっていた。フランス語の宿題だ。小説を読んでその内容をまとめるといったことをしているらしい。マニアの指導は厳しくて粘り強い。4時間以上にわたってエヴァンの宿題につきあい、コメントする。答えを教えるという安易なものではなくて、そのコメントや指導は、まさに教育というものだ。エヴァンはこれまで家では私がいるときはサッカーゲームばかりやっていたが、宿題については文句を言わず、母親と議論しながらおとなしくやっていた。

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