2020年2月27日木曜日

2020/02/26 ニース研修第12日 エズ村とガリマール香水博物館

たくさん食べた日になってしまった。
研修二週目の中日である。学生も疲れている感じがあるが、私もちょっと疲れている。午前中は学生が授業が受けているあいだは、家で学会発表の要旨の執筆のための勉強をしていた。また学校の事務所で、授業最終日に交付される受講証明書の氏名確認の依頼(けっこう間違った氏名で登録されているのだ)と帰国日に各家庭に迎えに来る時間の確認をした。
「フランス人を信用していない」といったことを度々書いているが、それはフランス人と仕事をするとき、こちらが相手に期待したしかるべきことができていないことを想定し、先回りして確認する必要があるからだ。
例えば学校との関係だと、契約して受講料を振り込んでおけば、あとは向こうにすべて任せておけば万事うまくいくといったものでは必ずしもない。なにかトラブルがあった場合、向こうが責任をもって対処してくれるなんてことも期待しないほうがいい。向こう任せにしておくとかえってこちらが混乱し、振り回されてしまう。というような経験が何回かあった。この研修でも常にうまく行かない場合はどうするかは考えている。そしてトラブルがあっても最終的に帳尻が合えばOKみたいな考え方をしている。

いつもは学校そばのカフェテリアで学生たちと昼飯を食べるのだが、今日の昼は学校の校長にランチを誘われていた。その誘い方が先週末に授業の休み時間に偶然彼と学校の中庭であって、「今週の水曜日、ランチに行こう」と口頭で言われただけだったので、昨夜「明日、ランチに一緒に行くということでOKですね?」と確認のメールを出しておいた。しかしそのメールに返事がない。北イタリアのコロナウイルス騒動でキャンセルが大量に出て、その対応で私とランチどころではなくなったのかと思い、昼休みにも校長の姿がなかったので、学生たちといつものようにカフェテリアに行った。カフェテリアで並んでいると後から来た学校のスタッフが「ミキオは昼に校長とランチの約束してたでしょ? 校長、待っているよ」と言われ、学校に戻るがやはり校長の姿は見えない。受付の研修生に「校長はどこにいる?会う約束があるんだけど」と聞いたけれど、わからないという。入れ違いになったのかなと思っていたら、会議をやっていたらしく、昼休みがはじまって30分ほどしてから校長がようやく姿を現した。

学校の近くにあるニースの郷土料理の店に連れて行ってもらった。前菜はニースの郷土料理のおかず的なものの盛り合わせ。イカを揚げたものが美味しかった。主菜はタコの煮物を頼んだ。これはご飯と一緒に食べる。今日は灰の水曜日で、四旬節の始まりでもあるので、肉を選ばなかった。タコの煮物もご飯にとてもよく合う。ニース飯もうまい。

校長は日本からの受講生をもっと増やしたいと考えている。それで私に協力を求めてきた。私は今回で6年連続で15名ぐらいの学生をこの学校に連れてきて、二週間の研修を行っている実績がある。個人で受講する日本人はパラパラいるが、私のグループ以外で日本人の団体はいないとのこと。今回、研修の申込みをしたときに、学校の事務所から、私以外にこうした団体研修をやる人はいないかとか、日本人の研修生を探しているという依頼はあった。

私には日本人向けの広報書類のチェックと日本における代理店みたいなことを期待しているようだが、まだそのかたちははっきりしない。
アジュールリンガには世話になっているし、私としても協力できることは協力したいとは思っている。しかしどこまで、どのように関与できるかは、わからない。今の研修は、私自身のフランス語教育の実践の延長・総括のようなつもりでやっている。研修プログラムやステイ先については学校と綿密に打ち合わせをしているし、航空券の手配も私がやっている。準備のための作業量は膨大だし、実際に学生に付き添うということの身体的負担も大きいのだけれど、この研修の実施によって、私はフランス語の教員として大きな充実感を得ているし、学校側のスタッフ、ホームステイ先の人たち、学生たちとの交流のなかで、私自身の成長や発見があるということが重要なのだ。

代理店的な立場で完全にビジネスとして研修事業をやるというのは、自分としては違うような気がする。もちろん少ない労力と時間で多大な報酬を得られるというのであれば話しは違うが、ビジネスというのは相応の時間と労力をつぎ込む覚悟がないとうまくいかないように思う。しかし労力と時間を投入するのであれば、私には収益性は乏しくてもやりたい別のことがある。また現在私がやっている研修とほぼ同じ内容のものを、まったく自分とは関わりのない人たちを対象に企画・実施できるかといえば、それは不可能だ。

実は学校からこうした依頼があるのは今回がはじめてではなくて、これで三回目だ。ところが一回目、二回目も、思いつきのようにこちらに来たとき提案はされるけれど、それっきりでその後、本気で事業を進めていこうとする粘りがない。下手な鉄砲数打てば当たる、みたいな感じでとりあえず言ってみて、やっぱり面倒くさそうだからそのまま立ち消えという感じなんで、今回もその可能性があるのではないかと思っている。一回目のときは学校のウェブページの内容をすべて日本語訳して渡すという作業をしたけれども、結局それも生かされぬまま、立ち消えになってしまった。また骨折り損みたいなことになるのではという気もして、「まあできることがあれば協力します」みたいな返事をしておいた。

午後は学校主催の遠足で、バスでエズ村に行った。南仏にある鷹の巣村と言われる崖山の山頂付近に作られた石造りの密集村落のなかでは、最もよく知られた村だ。村の頂上にあるエキゾチック庭園からの展望では、地中海を見渡す素晴らしい景観を楽しむことができる。エキゾチック庭園に40分ほどいたあと、ふもとにあるガリマール社の香水博物館を見学した。最後に製品の販売がある。香水博物館の規模はごく小さいが、香水製造の歴史や過程がかなり詳しくかつわかりやすく説明される。

夕食は学生たちと西アフリカ料理を食べに行った。研修期間中、何回か外食する機会があるが、そのたびに違う学生を誘って食事をするようにしている。学生たちは学生たちだけで外食をしたりしているようなんで、私と飯を食べるのは窮屈で楽しくないかもしれないが、一回5、6人で一通り全員と会食する機会を設けている。食べるレストランは私が自分の食べたい場所を選ぶ。西アフリカ料理の店は、自分のステイ先のすぐそばにあり、かつて一度だけ入ったことがあった。そのときは子羊肉のヤッサを食べた。他にもいくつか料理があるが、一人では一回に一種類しか食べられない。そこで今回は学生たちを誘って一気に数種類の料理を試してみたかった。

西アフリカ料理は基本的に日本人の舌に合うものだと思う。私は今回はコートジボワールの料理であるケジェヌを注文した。シチューみたいな料理だ。副菜は色々選択肢があるのだが、この料理にはこの副菜とだいたい決まってるらしい。私はバナナが食べたかったのだが、店員の勧めでアチュケというクスクスのようなものを副菜に選んだ。
下町にある大衆食堂で、顧客は黒人客ばかりだ。そんな店に突然日本人7名が入ってきたのだが、店員はニコニコして実に気持ちよく迎えてくれた。感じのいい店だ。ケジュヌも美味しかった。唐辛子ベースのソースをつけるとさらに美味しい。この唐辛子ソースが欲しい。ボリュームもたっぷりで、お腹いっぱいになる。
学生たちもかなりのボリュームだったのに全員がほぼ完食していた。

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