昨夜、学生を送って家に戻る途中、つまづいて派手に転んだ。坂道の横断歩道でごろりと一回転。ひざと左胸の下を強く打ったのだが、朝起きるとその二か所が痛い。特に左胸の下。腫れてはいないので骨にひびが入ったというようなことはないとは思うのだが。
一昨日発熱の学生は、昨日平熱に戻り、今日から復帰。フランスの薬の効き目がすごいのか、若い奴の回復力ゆえか。平穏な一日になると思ったのだが、昨夜、ニース料理を一緒に食べた学生が深夜に激しい腹痛に襲われ、朝になってもまだ腹痛があるので休むという連絡がラインで入った。
昨日食べたものの何かが当たったのではないかと思うと彼女のメッセージにあったが、昨夜食べたもので当たるような料理は思い浮かばない。ちゃんと火が通った料理ばかりだし、食材もなじみのものばかりだ。
「食べすぎじゃないか?」と訊くと彼女はそんなに食べていないという。一昨日調子を崩した学生も「食べ物があたった」と言っていたが、実際にはインフルエンザだった。「熱はないか?」と聞くと、熱はなさそうだ、とにかくじわじわとおなかが痛いと言う。
昨夜の転倒の後遺症で体が痛かったし、疲労で体も重かったのだが、おなかが痛いってのはかわいそうだと思い、ガスター10を持って彼女を見舞うことにした。私の住んでいるところからは歩くと30分ほどの距離だが、ニースのレンタル自転車システムVélobleuを使えば12-3分で行くことができる。このVélobleu、事前の利用者登録が必要だったり、現地で通話可能な電話が必要だったり(利用するときに、画面に表示された電話番号に電話して、登録利用者を確認する仕組みになっている)して面倒なのだが、ニースの移動にはとても便利だ。今回は学生のステイ先が12か所に分かれているので、Vélobleuを使ってニースのまちなかを行き来している。利用料金は一週間5ユーロ、一か月10ユーロで乗り放題と格安だ。
彼女の家を訪ねるとだいぶよくなったと言いながら、痛みに顔をしかめていてかなりつらそうな様子だったので心配になる。とりあえずガスター10を飲んで様子を見ることにしたが、その後学校に戻ると「突然痛くなったと言っていたし、虫垂炎や腸閉塞とかだったらどうしよう」と不安になった。彼女と同室の学生が昼食後すぐに住居に戻って、様子を伝えてくれた。すやすやと寝ていて、だいぶよくなっている感じがするとのこと。昨夜は痛みであまり眠れなかったかもしれない。私は午後にまた彼女たちの家方面に行く用事があったので、そのときにまた寄って様子が思わしくなければ、また病院に連れていくことにしようと思った。
午前中は自分の勉強の時間のはずが、結局はいろいろ入って勉強が進まない。仕方ない。
明日の夜はニースのオペラ座にストラビンスキーのオペラ《放蕩者の遍歴》、明後日の夜はオペラ座プロデュースのミュージカル《赤と黒》を学生たちと見ることになっている。ニースのオペラ座の担当者に学生団体チケットの確保をお願いしていて、それを引き取りにいかなければならなかった。学生券は5ユーロだ。本来なら学生券は劇場窓口で、公演の何日か前までに買うという条件があって、予約取り置きというのはできないのだが、メールで問い合わせたところ、担当者の裁量でわれわれの分のチケットを確保してもらっていた。ニース研修では毎年オペラ鑑賞を行っているが、3年前からこのやり方で学生券を用意してもらっていた。今日の午後はチケット引き取りの際に、それまでメールでのやりとりだった担当者に会って挨拶することにしていた。
家からオペラ座までもVélobleuで。しかし到着先のVélobleuのステーション数か所が満員で、15分で現地に到着したものの、駐輪先を探すのに15分かかった。自転車をステーションに返した時点で、腹痛の子に連絡をとったが、薬を飲んでから少し寝ると、かなり体調がよくなったので散歩に出かけるとのこと。ガスター10が効いたのか。とりあえず大病でなくてよかった。
オペラ座のチケット窓口で、学生券の処理の担当者を呼び出しもらう。メールでのやりとりはフランクな感じであったが、出てきたのはさっそうとした上品なマダムで、劇場内でかなりの地位にあることがその雰囲気から感じられた。学生の芸術鑑賞の意義を熱意をもって語り、こちらの語学研修の様子や学生の関心、私の専門領域などについていろいろ聞かれて、ドギマギする。さらっと挨拶して、おみやげのキットカットを渡して立ち去るつもりだったのだが。ニースのオペラ座に継続的にやってくる日本人学生の団体はおそらくわれわれぐらいなので、好奇心をそそられたのだろう。
ニースでぶらつくところといえば、旧市街と海岸沿いにほぼ集約されてしまう。昨日、今日はイベントを入れなかったので、学生たちは思い思いにすごしていたが半分くらいはこの辺りをぶらついてたようだ。海岸で数人の学生と合流する。
ニースは海岸に座り、ぼーっと海を見ているだけでもいい。一時間ほどぼーっと海を見て、ときおり他愛のないことを話したりして過ごす。
明日、明後日は夜に外出するので、ブラバン家の夜飯は今日が最後だ。夫のギヨームが作った手作り特製ハンバーガーが夕食だった。とてもおいしいハンバーガーだったが、これだけでは物足りないなと思っていると、マニアがトマトソースで色づけしたチキンライスっぽい米料理を出してくれた。
マニアは教育熱心で厳しい母親でもある。仕事から帰って疲れているはずなのに、子供二人の朗読の宿題に厳しいダメ出しをしていた。
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