2019年3月5日火曜日

2019/03/02 ニース研修2019春15日目

研修15日目。
学生たちは一人を除いて明日帰国である。帰国前日の土曜日は基本的にフリーとしたが、午前中は希望者とフェラ岬にあるロットシルド別荘に行った。20世紀はじめにロスチャイルド家の末裔であるベアトリスが作らせた壮麗で優美な夢の別荘と庭園だ。ロココ美術の収集家であった彼女の趣味のよさとこだわりがすみずみまで行き届いたユートピアのような場所で、ベルエポック期のフランスの豊かさを象徴するような建造物だ。学校の遠足で言ったヴィラ・ケリロスの近くにあり、この二つの別荘を見学できるセット券もあるのだが、なぜか学校主催の遠足ではロットシルド別荘は含まれていない。朝9時半にニースを出て、開館時間の10時に入場するつもりだったがのだが、最寄り駅であるボリュから海岸沿いの美しい景色を見ながらぶらぶら歩いていたら、別荘に着いたのが10時半近くになってしまった。11時50分まで自由に見学ということにした。
ロッドシルド別荘からニースまでの帰りはバスを使った。海岸沿いの美しい景色の場所を走る路線だが、ニースのバスの運転手はそのほとんどが運転の仕方が乱暴でガンガン揺れる。ジェットコースターみたいだ。ニースまでは25分ほどなのだが車酔いしそうになっていた学生がいた。
昼飯は5年前、夏休みの教員向け研修ではじめてニースに二週間滞在したときに知り合った友人と食べる約束をしていた。ニースに住むレユニオン出身のフランス人女性だ。5年前、ニースの下町のレストランで一人で夕飯を食べていると、隣のテーブルで飯を食べていたフランス人夫妻に声をかけられ、一緒のテーブルで飯を食ったのが知り合ったきっかけだ。
その後、夫妻の妻の方が彼女の友人と2回日本に旅行で来た。私がニースの行くたびに一緒に飯を食っている。ただこの夫婦は2年前に離婚してしまった。美容師の夫が同僚と不倫していたのが発覚したからだ。夫婦には娘が一人いるし、不倫相手にも夫と子供がいた。地元の美容院だったので関係者全員が知合いだ。夫は不倫相手と一緒に暮らしている。娘は最初のうちは父と母のところを行ったり来たりしていたが、妻のほうと相性が悪く、最近は夫の新しい家族と一緒に暮らしている。
不倫された妻の方にも、別居後、すぐに彼氏ができた。その彼氏に私は2年前に会っている。一緒に食事をしてのだ。今回の昼食もその彼氏が一緒だった。付き合って2年になるが結婚の予定はないようだ。彼も離婚していて、子供が2人いるとのこと。
昼飯はサレヤ通りのレストランで、オッソブッコを食べた。仔牛の骨付き肉の煮込みでパスタが添えてあった。
食事後、二人と別れ、自転車でメーテルリンクが晩年の数年間を過ごした邸宅に行った。メーテルリンク の死後、ホテルになったりしたこともあったようだが、今は民間のアパルトマンになっているようで、中に入ることにできない。ニースと隣町のヴィルフランシュの境となる岬の先端にある。メーテルリンクはこの邸宅をオルラモンドOrlamondeと呼んだ。ガランとした大邸宅で、世からはほぼ忘れられた作家として過ごしたニースでの最後の数年間については、メーテルリンクと親交のあったニースの医師による興味深い追悼文があり、メーテルリンクが最後に発表した原子爆弾についてのエッセイとともに翻訳しているのだけど、まだ発表できるほど勉強が進んでいない。
夜は学生数名とニースオペラ座プロデュースのミュージカル『赤と黒』を見に行った。会場はニース市街からバスで40分ほど離れたところにあるオペラ作品の倉庫兼稽古場で、その空間の広大さには驚嘆する。肝心の芝居はひねりのないオペラ風の歌唱劇で退屈。75分の上演時間が長く感じられた。会場は面白かったけど、わざわざ最後の夜の時間を使って見るようなものでなかった。
女子学生一人を家まで送ってから帰宅。疲れた。

0 件のコメント:

コメントを投稿