ニースに到着してまだ4日しか経っていないのかと思う。もう一週間以上いるような気分なのに。
午前7時過ぎに起床。今日は午前中に授業、午後はエズ村にエクスカーションの日だ。私もB2レベルのクラスの授業に参加した。今日のオープニングはフランス語の早口言葉。次にフランス語の慣用表現の意味を当てるクイズをやったあと、生徒各人が自分の母語で同様の慣用表現を探し、それをフランス語訳に直訳したものの意味を当てるというクイズをやった。教室には私以にイタリア人、スペイン人、チェコ人、スイス人の受講生がいる。イタリア語、スペイン語の慣用表現はフランス語と共通するものが多いのではないかと思ったが案外そうではない。私は「腹黒い」という言い回しを提示した。フランス語訳は、avoir un ventre noirとする。手持ちの和仏辞典では「腹黒い」の訳語として、sournoisを挙げていた。すぐに意味の見当がつくのではないかと思ったら、案外そうではなかった。授業の後半は一枚の風景写真を見て、それを描写するというアクティビティだった。最初は一人で考えて、次にペアで互いの「描写」を確認し合ったあと、全体で共有する。先生のニコラは受講生たちが提示した描写に関わる語に、即興的に反応し、自分の持っているさまざまな材料を利用して、類語や表現、逸話などを膨らましていく。この即興的反応と発展のさせ方はさすがうまいなと思う。
授業は90分が二コマ。授業を受ける立場となると、どんな工夫があっても、90分の授業を二コマ集中して受けると長さを感じる。
昼食はいつものレストランへ。今日のメニューは「牛肉照り焼き風とライス」と「鰯のグリル」の二択だった。フランスで魚を食べる機会があまりないので鰯のグリルを選択した。鰯に塩こしょう、ハーブを散らして焼いたシンプルな料理だった。これにサラダが添えられている。
午後は、岩山の上に築かれた「鷲の巣村」のなかでニースに最も近い場所にある人気観光地、エズに行った。これは学校主催の遠足だ。午後2時過ぎに学校を出発する。メトロとバスを乗り継いでエズに到着したのは午後3時過ぎ。まずエズ村のふもとにあるフランス最古の香水工房を見学する。香水の歴史や材料、作り方などのガイドツアーのあと、店舗に誘導するというもの。ガイドツアーは、製品販売に導くためのものだが、フランスのこういうガイドツアーはけっこうきっちり勉強させようとするものが多い。20分ほどツアーのあとは、ショッピングタイムとなる。私は何も買わなかった。
エズ村は岩山に築かれた小さな集落で、多くの土産物店や画廊がその頂上付近にある「エキゾチック庭園」に至る急な坂道の路地沿いに並んでいる。夏のシーズンだけあって人が多かった。またこの時期のニースでは午後5時頃が一番気温が高くなる。「エキゾチック庭園」は日光を遮るものが何もないので暑かった。庭園は切り立った崖のような場所にある。数百メートル下に拡がる地中海の景観が素晴らしい。
帰りのバスは大混雑だった。ジグザグの山道を30分ぐらいかけて下りなくてはならないのだが、ニースのバスの運転は荒っぽいし、しかもカオスといっていいような満員バスだったため、下の市街地に下りるまではひやひやして生きた心地がしなかった。
けっこうバテバテの状態で午後7時半すぎに帰宅。
ニースの最高気温は30度を少し超えるぐらいで、東京よりも過ごしやすいのだが、それでもこの気温と強い日差しのなかを毎日「遠足」するのはきつい。次にニース研修を行うときは、やはりシーズンオフの二月か三月がいいなと思う。夏に比べて安く滞在できるし、人も少ない。学校のスタッフも余裕がある。
夕食は、鳥のロースト、ジャガイモ、ラタトウィユ。全部Annickの手作りである。手製のマスタードソースが絶品だった。ラタトゥイユはこれまで私が食べたラタトゥイユのなかで一番美味しかった。これにデザートとして果物。締めは珈琲。夕飯を食べて、ちょっと元気を取り戻す。昼間ガンガン歩いて入るから、トータルでは消費カロリーが摂取カロリーを上回っているはず。
0 件のコメント:
コメントを投稿