2023年8月11日金曜日

2023/8/10 ニース第12日

 朝7時半起床。今日は午前中に授業、午後はモナコに遠足に行く日だった。

男子学生3名はまだ体調が快復していない様子だったので、午前中の授業は休んでもらった。新たに女子学生1人組が体調思わしくないと言うことで欠席。続々と病人が増えているのが気になる。せっかくフランスに来たのに、病気で家に閉じこもざるを得ないというのは可哀想だ。とはいえ海外で旅行中に集団的感染となると対応が非常に難しくなるかもしれないし。判断が難しい。
自分は毎日イベント続きで疲れてはいるけれど、規則正しい生活をして、美味しいものをたっぷり食べているせいか、元気ではある。
私が授業に出させて貰っているニコラの授業は今日が最後の日だった。授業は金曜日まであるが、明日はニコラは用事があって授業を行わないとのこと。今日は、ことわざ、格言、だじゃれ、文学的引用やもじりを多用するジャーナリスティックな文章の表現を拾っていった。日本の新聞などのメディアはどちらかというと中立的なわかりやすい表現で書こうとするが、フランスの新聞などの文章ではひねった表現が好まれる。想定外の、ときにとんちんかんな受講生の返答にも、すぐに反応して、即興的に関連する語や表現などを提示して、発展させていくニコラの技術はたいしたものだと思う。教材を準備した上で、必ずしも教材の内容に縛られない。ずっと神経を研ぎ澄ませて、受講生の言葉を拾い、ユーモアを交えてリズミカルに、トピックにつなげていく。巧いなあと思う。フランスのジャーナリスティックな文章は修辞的で、時事的な問題についての知識や文学的素養などもないと、文意を読み取ることができないことがしばしばある。自分の専門分野の学術的フランス語もちゃんと読めていないことは結構あるのだけど、こうした
「生きている」フランス語の読解については自分はフランス語教員としては全然修行が足りないなと改めて思う。
昼は学校近くのcantineで。鱈っぽい白身魚を食べた。私は先週通ったニース中心街のレストランの昼食より、学校近くのcantineのごはんのほうが好きだ。
カンヌへの遠足は午後2時に学校を出発した。私たちのグループ以外にも一般の大人の受講生も数人参加していた。昨日、病気で学校を休んでいた男子学生三人のうち、二人は遠足からマスク着用で参加。見た感じ、元気そうだ。昨日はかなりしんどかったようだが。遠足欠席は今朝から体調を崩している女子学生一人、二日前にコロナと診断された男子学生一人だった。男二人に、家に残っている男子学生の様子を聞くと、熱は下がっているものの、断続的に襲ってくる腹痛に苦しんでいるとのこと。休んでいる女子学生からは37度半ばの微熱があるという連絡があった。
モナコはニースから列車で20分ほどところにある。コートダジュールに観光旅行に来る人のほとんどはモナコに行くので、Azurlinguaのエクスカーションにもモナコは必ず含まれていて、私も来る度に行っている。コートダジュールの都市のなかでは、非常に人気のある町だが、私はモナコはあまり好きではない。あまりに人工的に観光客のために整備された町、超ブルジョワが実際に住んでいるディズニーランド、あるいはしっかりと掃除が行き届いたニースという感じだ。要はキレイだけど、あまり人間味を感じないのだ。
モナコの観光コースは、大公宮殿広場まで上って(けっこうな坂)、それから旧市街を歩いて抜けて、モナコ大聖堂を見学。そのあと海沿いの崖に沿って伸びるサン・マルタン公園を散策して、海洋博物館へというものだ。海洋博物館は海洋生物学者でもあったモナコ大公、アルベール一世が作ったものだが、海洋学に関わる展示のほか、水族館もある。今日の引率役はローラだった。彼女は2時半から6時のあいだにモナコの見所をできるだけ見せようとして、このあとさらにカジノやオペラ座があるモンテ・カルロ地区の見学も含めたコースを準備していた。夕方6時過ぎ発の列車に乗ってニースに戻らなくてはならいことになっていたらしく、けっこう駆け足のモナコ観光になった。海洋博物館のブティックには、コートダジュール近辺のこの主のミュージアムショップのなかでは可愛らしく、趣味のいい製品が並んでいるのだが、学生たちのショッピング欲は満たされただろうか?
モナコはどの観光ポイントも観光客が一杯で、しかもけっこう日差しが強いなか坂道を上り下りしなくてはならないため、私はけっこうバテバテになってしまった。モナコ自体、既に何度も行っている上に、関心もないので、今日はローラに任せて、自分は家で午後はのんびり過ごせばよかったと後悔した。帰りの列車はモナコに通勤する近隣のフランス人たちの帰宅時間と重なり満員だった。私は自分の滞在先の最寄り駅である、ニース駅の一駅手前の駅で降りた。
バテバテで家に戻ったが、家主のAnnickの手作りのニース料理の食卓で元気を取り戻す。前菜はオリーブ、タマネギ、アンチョビが具のニース独自のピザ、ピサラディエール。メインは昨日の昼、ニース料理のレストランでも食べたファルシだった。Annickの料理はお世辞抜きに昨日のレストラン並に美味しかった。少なくとも旧市街にある老舗惣菜屋のファルシやピサラディエールよりはるかに美味しかった。
病気で休んでいた学生に電話する。男子は食欲はなく、お腹の調子は悪いけれど、解熱剤なしでも平熱になったとのこと。明日の午前中はボーリュの古代ギリシャ別荘への遠足、午後は最後の授業だが、出席させるかどうかは迷う。明日の朝、平熱ならマスク着用で出席可とするか。女子は37度半ばの微熱で、明日の授業出欠については熱があれば休むということにした。

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