午前中はまず、昨日朝に採血をしたlaboに行って検査結果を印刷したものを貰った。それを持ってニースでの「かかりつけ医」となった女医のところへ。血液検査の結果から得られた結論は、私の不調、普通でない疲労感の原因はビタミンDの欠乏に由来するということだった。血液検査の数値では血糖値が基準より高めだったのだが、それについては言及がなかった。
2月初め頃からなんとなく身体の調子が悪くて、ニースに到着してから数日はこれまで経験がなかったような疲労感に襲われて不安になっていたのだが、この三日はほぼ平常運転という感じになっている。そして今日の診断で、重大な事態でないことがほぼ確定して、一気に気分が楽になった。ビタミンD欠乏というのは急によくなるものではないと思うのだが、体調も気分も平常に戻った感じだ。ビタミンD補給のアンプルが半年分処方される。
「半年分!」とびっくりしたが、薬局に行くと一ヶ月に一アンプルなので、6本のアンプルだ。値段も安い。オレンジジュースに混ぜて飲むといいと言われた。
昼飯は学校そばのカフェテリアでミートボール。美味しかった。今日の午後は学校関連の遠足などのイベントはない。今日の夜はマセナ広場でLou QueernavalというニースのLBGTQAI+の人たちによるカーニバルがある。これまで私はこのイベントを二回見に行った。LGBTQAI+のLGBTQまでは知っていたが、「AI+」というのを知らなかった。ググってみたところQAIは、「Queer/Questioning(クィア/クエスチョニング)、Intersex(インターセックス)、Asexual(アセクシュアル)の頭文字」であり、最後の+は「上記の頭文字に入っていない、または表す言葉がまだない性的マイノリティ」を示すとのことだった。
https://japanwonderguide.com/what-is-lgbtqia/
ニース研修は昨年夏を除いて、毎年2月後半のカーニバルの時期に実施していて、ニースに来る度にカーニバルは見ているのだが、個人的には商業化された通常のカーニバル・プログラムよりも、性的マイノリティの人たちがカーニバルという枠組みのなか自己表現を行うQueernavalのほうがはるかに興味深いし、面白いし、楽しいものだった。
入場無料というのがいい。これは単に「タダ」だからありがたいというのではなくて、有料化してしまったオリジナルのカーニバルは、有料化ゆえに地元の人々の自主的な祝祭の性格を失い、観光客を対象としたビジネスになってしまったのに対し、Lou Queernavalは無料開催ゆえにカーニバルの本質と言っていい祝祭性とダイナミズムがあるのだ。出演するLBGTQAI+というマイノリティがニースの代表的ランドマークであるマセナ広場を占拠し、自らの存在をそのパフォーマンスによって誇示するというのは、「逆さまの世界」によって日常的社会の価値観にゆさぶりをかけることで日常に新たな活力をもたらすバフチン的《カーニバル》が具現化されているとも言えるのではないか。
Lou Queernavalは無料開催とはいえ、会場のキャパシティの問題でチケットが必要なのだが、今年はチケットが開催日の前に完売になっていた。当日券が午後2時からカーニバル公式チケット売り場で配布されるということで、カフェテリアでの食事後にチケット売り場に向かった。Lou Queernavalに関心があるという学生たちも一緒に。
午後1時半ごろにチケット売り場に着くと、Lou Queernavalの当日券を求め、長蛇の列ができていた。これはだめかなと思ったのだが、チケットは確保できた。チケット必須とはいえ、無料公演なので実際にはチケットを予約したけれども来ない人も少なくないだろう。
チケット売り場に行く途中に洒落たチョコレート・ショップを見つけたので、チケットを入手後、学生数名とそのチョコレート・ショップに入った。ニースには個人経営の個性的なチョコレートの店が何軒かある。この店は私は知らなかった。30種類ほどの小型のチョコが並んでいて、箱詰めしてくれる。値段も高くないし、見た目も可愛らしい。これまで何回もお世話になっている学生たちのステイ先のマダムが誕生日というので、そのマダムへのプレゼントとしてチョコを購入した。今回も二人の学生が世話になっている。自分用のお土産としてもまたニースを離れる前に買いに来ようと思った。
Lou Queernavalは20時開演だ。Lou Queeranavalを見に行く学生と18時にあらためて落ち合うことにした。一度、家に戻り、水などを近所のスーパーで購入した。
Lou Queernavalに来た学生は7名だった。フランスでレストランに入って飯を食べると2時間ぐらいは見ておく必要がある。Queernavalには開演時間の30分前には会場に着いておきたい。ゆっくり食事を取っている時間がないので、ニース旧市街でガリバルディ広場の近くにあるニースのローカルフード、ソッカやニース惣菜の店に行った。ここは基本はテイクアウトの店なのだが、注文した食べ物を隣接するカフェに持ち込んで食べることができる。しかしその際にはカフェで一人あたりワンドリンクを注文しなければならいというシステムになっている。食べ物を受け取るところと、カフェでの飲み物の会計を別々に行わなければならないのだ。
定番のソッカ(ひよこ豆の塩味クレープ)のほか、ニースのお惣菜であるファルシや鰯やネギの天ぷらを何皿か購入し、それを分けて食べた。本格的な飯ではなく、スナックをつまむという感じだ。
Lou Queernavalの会場には開演予定時間の15分ほど前に到着した。マセナ広場に設置された仮設のスタンド席である。予定開演時間は20時だが、20時を過ぎてもダラダラとした感じで始まったのかどうか今ひとつよくわからない。パフォーマーの数も少なくて盛り上がりもなく、こんな冷めた感じのまま終わってしまうのかと思っていたら、進行はダラダラという感じではあったけれど、徐々にパフォーマンス会場がさまざまな出で立ちのパフォーマーで満たされ、徐々に会場は高揚感に包まれた。そして最後はスタンド席から観客が下に降り、パフォーマーと一緒に踊るという次第になって、おおいに盛り上がる。オリジナルプログラムのカーニバルのパレードに比べると、はるかに低予算でしょぼいはずなのだけど、その自由さ、寛大さ、解放感がたまらない。私も楽しんだが、学生たちも楽しんでいたようだ。
本当は22時半の終演までいたかったのだが、明日は朝から遠足があるし、帰りが遅くなるといろいろ面倒なので、21時半すぎに切り上げる。
しかしやはり楽しかったなあ、Lou Queernaval。行ってよかった。
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