父の友人の画家がモロッコに何十年か前に旅行したとき、スケッチを始めたら人だかりができて、やいのやいの色々言われたり、ガキどもにちょっかい出されて大変だったという話を聞いたことを思い出す。
カサブランカ行きの列車は09時40分発だった。早めに駅に到着しておきたい。宿泊しているリヤドから駅までは3キロほどの距離がある。
チェックアウト前夜に、リヤドの若女将(?)のオマイマさんに「明日は0845には宿を出たい。朝飯を0815にできないか?」と聞くと、「調理の人の都合で0830にしか用意できない」と言う。「マジ?それじゃ、私は朝飯抜き?」と言うとすまなそうな顔をしていた。
「駅へのタクシーの手配はどうする?」と聞かれて、「ブルーゲート前に、プティタクシーがたくさん停まってるから、それを使えばいいだろ?」と言うと、「私にはわからない」との答え。ちょっと考えて、駅へのタクシーの手配を頼むことにした。
彼女はすぐに車の手配のため電話をしたが、150ディルハムだと言う。宿にタクシーの手配を頼むと割高になるのは仕方ないとは言え、ここにくる時は100ディルハムだった。
「高い。100ディルハムしか払わないと伝えてくれ」と言うと彼女はまた電話で先方と話し始めたが、何を言われたか知らないけどシクシクと泣き始めてしまった。
若い女性が目の前で泣いてしまうとこちらも狼狽えてしまう。
「いいよ、150で。その代わり9時きっかりにここに迎えに来ること、それから明日の朝は8時半きっかりに朝飯を出してくれ」と言った。
8時半に飯は出た。タクシーではないけど、駅まで私を届ける車も待機していた。
フェスからカサブランカまでは列車で4時間弱。カサブランカで一泊して、明日、日本行きの飛行機に乗る。
フェスからカサブランカへ移動。モロッコ国鉄の料金は謎でフェス→カサブランカは300キロ以上あって3時間50分なのに89ディルハム、だいたい9€なのに、ラバトからフェスに行ったときは3時間弱の行程で120ディルハム。そして明日、利用するカサブランカから空港までは30分で80ディルハムである。いずれも一等車の料金だ。座席が一番快適だったのは、一人独立席だった今日の列車だった。コンパートメントは知らない人と長時間、個室で向き合うことになるので、あまり快適ではない。
モロッコは概ね交通費はかなり安いと言っていい。 タクシーがどの町でも大量に走っていて、すぐにつかまる。料金は市内移動だとたいてい15ディルハム(1.5€)以内だ。タクシーが準公共交通機関として機能しているとも言える。
カサブランカには13時30分に到着した。ホテルは駅から500メートルほどの大型チェーンホテルを予約していた。モロッコ最終日はちょっとゆったり過ごしたかったのだ。清潔で、広くて、機能的で快適な部屋だった。これで50€は安く感じる。
カサブランカはモロッコ最大の都市だが、観光の見どころは乏しい。私の旅行ガイドブックのバイブル、Routardによると観光的には1993年に完成したハッサン2世モスクだけ押さえておけばいい。このモスクは非信者でも入場可能なモスクだが、ガイドブックを読んでも、モスクのページを見ても、開館時間がはっきりわからない。ラマダン中は開館時間が短くなっている可能性もある。ガイドツアーも探したのだが、私の列車の到着時間で申し込めるツアーはなかった。
ホテルの部屋に荷物を置くと、すぐにタクシーでモスクに向かった。モスクの敷地に入るには、モスクに併設されている博物館でチケットを購入しなくてはならないようだった。チケット売り場に着いたのは14時30分頃だった。
しかし今日は14時で最後の見学ツアーは終わりだと言われてしまう。ただ博物館のチケット売り場前のロビーにいれば、15時半になると無料で開放され、中に入れるとのこと。いったいどうなってるのかよくわからなかったがせっかく来たので、15時半までそこにいることにした。
ガイドに率いられた団体客が何組か、その後、モスクの敷地内に入場していったが、ロビーで待っている個人観光者は私だけ。そのうち博物館のチケット売り場スタッフがいなくなり、他のスタッフが博物館の出入り口を閉めて、入って来ようとしている個人観光客を追い返したりしている。
自分がここにいていいのか?、15時半になったら無料で入れると言うのは聞き間違えだったのか不安になった。
団体客のガイドが私の隣に座って、日本語で話しかけて来たのでびっくりした。日本に数年住んだことがあるという。トルコで日本語が巧みなトルコ人に絨毯を買わされそうになった経験があるので、多少、警戒しつつ、そのガイドと日仏語を交えて話をした。今日は日本人団体客をここに案内したそうだ。高齢の女性を中心とした団体だった。
アジア人の観光客をモロッコでは見かけないと何日か前に書いたが、昨夜のレストランと今日の列車の中には若い女性二人組の日本人観光客がいた。50後半のおっさんが話しかけるの警戒されて気まずい思いをするのではないかと思い、あえて話しかけなかったが。ガイドによると、コロナ前に比べると少なくなったが、ぼちぼち日本人観光客も増えているとのこと。流暢な日本語だった。単に暇つぶしで私と話をしたかったようだ。
15時半になると、博物館のスタッフが「今から中に入れるから」と私をモスクの敷地内に入れてくれた。いったいどういうシステムなのかさっぱりわからない。ただモスクのなかには入れなかった。外からなかを覗くだけ。ホテルに帰ってから調べてみると、1時間ごとにガイドツアーがあって、そのガイドと一緒でないとモスク内に入れないらしい。その最後のガイドツアーが今日は14時だったということのようだ。
モスクの敷地は9ヘクタール、ミナレットの高さは200メートルあってアフリカで最も高いらしい。現代の建造物だが、イスラム・モロッコの伝統的な工芸様式を取り入れた壮麗でスケールの大きい建造物だった。
とりあえずカサブランカで見るべきものは見た、モロッコ旅行の締めくくりにはなったと思い、満足する。
モスクから海岸沿いの道を30分ぐらい歩いて、カサブランカのメディナに向かった。今日は風の強い日だった。そのせいもあるのか、大西洋の海の波は荒々しかった。モスクのミナレットは大西洋のなかに突き出るように建っている。
カサブランカのメディナも面白かった。壁にさまざまなオブジェや絵を雑然と引っ付けた現代アート風の一角があった。
昼飯抜きだったので、早めの夕食を取りたかったけど、Routardで紹介されている良さげな店の多くはメディナにあり、Google MAPでは「営業中」になっているけど、実際はみんな休みだ。ラマダンの時期に、日が出ているあいだに、まともなレストランが営業しているわけではない。
いったんホテルに戻って、また日が暮れたあとに飯屋を探そうかと考えた。モロッコ最終日なので、ちょっと奮発して美味しいものを食べたかったのだ。しかしホテルに戻ると再び外に出かける気がなくなってしまった。
疲れているので面倒になって宿泊しているホテルのレストランのイフタール(ラマダンの断食明けの飯)定食というやつにした。バイキング形式で14€くらいだが全然美味しくない。激しく後悔。しかしフロアを一人で担当している黒人の青年は一所懸命サービスしているので、まあいいかと。 モロッコでは本場の最高に美味しいクスクスとかが食べられるのではないかと期待していたのだが、食に関しては、全般的に不味くはないんだけど、すごく美味しいと言うものもなかったな。味付けがみんなぼんやりという感じで。
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