2025年3月3日月曜日

ニース研修2025 3月1日(土)第15日

 2025/03/01(土)第15日

明日は帰国日なので、実質的に何もできない。今日は日中、昨日観光案内所で確認したサン=ポール・ド・ヴァンスへの遠足だ。希望者のみの参加としたのは、連日の授業やイベントで疲れている学生や、最終日はショッピングを優先したい学生もいるだろうと思ったからだ。
もし誰も参加希望者がいなければ、一人でイタリアのサンレモにでも行こうかと考えていたのだが、5人の参加希望者がいた。
午前9時にニース駅に集合し、3駅先のカーニュ=シュル=メールで路線バスに乗り換える。このバスの情報は、公共交通機関を管轄するLignes d'Azurのウェブサイトでは見つけられなかった。カーニュからサン=ポール・ド・ヴァンスまではバスで25分ほど。道中、徐々に坂道となる。
村に行く前に、手前のバス停から徒歩20分ほど山道を登り、マーグ財団美術館へ向かった。Maeghtと綴って「マーグ」と読む。1964年、出版社・画商・画廊オーナーだったマーグ夫妻が設立した美術館で、規模こそ大きくないものの、ジョアン・ミロ、アレクサンダー・カルダー、フェルナン・レジェ、ジョルジュ・ブラック、アルベルト・ジャコメッティ、マルク・シャガールといった20世紀前半の巨匠たちの超一級の作品が厳選されている。
これまで何度も訪れているが、改めて素晴らしいと美術館だと思った。1965年の建造物なので、天井が低いのがちょっと難点だが、野外風景と野外彫刻の調和やゆったりとした作品配置など。午前10時の開館直後に入場したこともあり、人も少ない。こんな傑作群を、こんなにゆったりと味わう機会は滅多に得られるものではないだろう。






その後、サン=ポール・ド・ヴァンスの村へ。コート・ダジュールに点在する「鷲の巣」村の一つで、丘の頂上に要塞化した石造りの村が広がる。坂道ばかりのエズ村と異なり、城壁内は比較的平坦だ。
20世紀前半には多くの芸術家が滞在し、シャガールが最期を迎えた地でもある。村を囲む墓地には彼の墓があり、そこからの眺望が素晴らしい。
村は30分もあれば一周できるほどの広さ。まずはクレープ屋で昼食。外のテラス席で食べたが、少し寒かった。フォワグラとイチジクのジャムのガレットを頼んだものの、味は普通。観光客向けのレストランという印象だ。ガレットはもともとブルターニュ地方の素朴な軽食で、正直、積極的に食べたいほど美味しいものだと思ったことはない。
食後にシャガールの墓を訪れ、村をひと回りする。今回は6人と人数もほどよく、動きやすかった。





村の中心にある城塞跡は現在、役所と博物館になっており、その隣にはベルギー出身の画家ジャン=ミシェル・フォロンが内装を手がけた礼拝堂がある。ぜひ見せたかったが、14時まで昼休みだったため、ここで一度解散し、14時半に城壁外で再集合することに。礼拝堂を見たい人には14時に来るよう伝え、私は向かいの教会で休憩していた。
14時、礼拝堂の再開時間になっても鍵を管理する博物館は閉まったまま。「あと10分で戻ります」とのメモがドアに貼られていた。5人のうち3人が来てくれ、少し待つとスタッフがコーヒー片手に戻ってきた。
フォロンの展覧会は日本でも何度か開催されていて、私も以前に見たことがある。淡いパステルカラーが印象的な、可愛らしい絵を描く画家だ。この礼拝堂では、オレンジとレモン色を基調にしたモザイクで、奥にサン=ポール・ド・ヴァンスの遠景が描かれていた。



15時前のバスで村を後にし、16時頃ニースに戻る。
水曜に財布をすられた男子学生は今日は自宅待機。鍵を持っているルームメイトは遠足に参加しているため、彼は一人で外出できない状況だ。スマホがないので居場所の確認も難しい。家のタブレットで連絡を取り合い、16時にFNACで合流することにした。
夜はカーニバルの最終日で電飾パレードもあったが、チケット確認が不十分だったため、自然消滅的に中止に。楽しみにしていた学生には申し訳なかった。結局、男子学生2人と一緒に過ごすことに。
FNACで無事合流したものの、すぐに「部屋の鍵をちゃんとかけたか不安なので戻ります」と言い出した。FNACから家までは徒歩20分。
「部屋の鍵なら大丈夫じゃない?貴重品もないだろうし」と言ってみたが、盗難に遭ったばかりでナーバスになっており、一度確認したいとのこと。MONOPRIXの2階で再集合することにして、私は免税手続きを済ませる。
対応してくれた黒人の若い女性スタッフは初めての手続きだったらしく、40分もかかってしまったが、最後に「長く待たせてしまって本当にごめんなさい」と謝られ、気持ちが和らいだ。
MONOPRIXで再合流し、お土産用のチョコレートを購入。時刻は17時半。ニース城山へ日の入りを見に行くことにした。
エレベーターは既に停止しており、急いで登ったので汗だくに。日の入りには間に合ったものの、雲が地平線を覆っており、夕日はその中に沈んでしまっていた。それでも、夕暮れの街並みを一望できたのは満足だった。

夜は学校近くのレユニオン料理店へ。5〜6年前、学校長に連れて行ってもらった店で、気になっていた。予約なしで入れるか不安だったが、19時過ぎに行くと準備中。30分後に再訪し、無事入店できた。
「初心者なので、典型的なレユニオン料理をお願いします」と頼む。前菜はサモサと餃子風の揚げ物、豚の血と脂の腸詰めブーダン。メインはココナッツソースの鶏、豚のマサラ、仔羊のカリー。ご飯に野菜や豆の副菜を添え、メインをかけて食べる、まさにご飯がすすむ料理。実に美味しかった。






感じの良い店員さんとも写真を撮り、常連客とも会話が弾み、楽しい夜となった。
22時半からの王と王妃の焼却と花火は、疲れすぎて諦めるつもりだったが、食後にちょうどいい時間になり、浜辺まで出ることに。
海岸は大勢の人で賑わい、燃やす儀式は遅れて23時頃に始まったが、少し遠くて見づらかった。花火は20分ほど続き、ニース滞在の締めくくりにふさわしい夜となった。
帰りは疲れ切ってUberで帰宅。深夜0時半、大家のAnnickは風邪で寝込んでいた。

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