2025年3月3日月曜日

ニース研修2025 03/02(日)第16日 最終日

 2025/03/02(日)第16日 最終日

今日、学生たちは帰国の途につく。ただし16名のうち1名だけは、高校時代にホームステイしたスイスに向かい、1週間滞在してから帰国する予定だ。

私は学生たちを空港で見送ったあと、ニースにもう1泊滞在し、明日3日(月)の夕方の便でモロッコのマラケシュへ向かう。

Annickの風邪はかなり辛そうだった。モロッコ行きの便の都合でニースに1泊多く滞在する必要があることは、だいぶ前から分かっていた。1月初め、私はAnnickに「次のステイの予定がなければ、50ユーロ払うので1泊延泊させてくれないか」と頼んだところ、「料金は不要、泊まっていい」と快諾してくれた。

ところが渡航前日に、「日曜からイタリア人の子どもを2人預かることになったので、ソファベッドで寝てもらってもいい?」という連絡が来た。少し迷ったが、一泊だけ他の宿を探すのも面倒なので、「迷惑でないならソファベッドで構わない」と返事をした。

ところが金曜の午前中にAnnickから再度メッセージが入り、「子どもたちが安心できるよう、やはり日曜には出て行ってほしい」とのこと。直前になって何なんだ、とは思ったが、向こうがそう言う以上仕方がない。「わかった。日曜朝に出て、適当なホテルに泊まる」と返したものの、やはり少し嫌な気分だった。



浴槽の修理代は金曜に現金で渡したが、それも何かしこりになっていたのかもしれない。いずれにせよ、こうなった以上、多少費用がかかってもホテルのほうが気楽だ。Booking.comで空港近く、1泊60ユーロの安ホテルを予約した。Annickの家には今回で3回目の滞在だったが、次に来ることがあっても、もう泊まらないだろう。

こういう関係の切り方に見える、フランス人特有の合理主義的な態度は、これまでにも何度か経験している。もちろん、日本人同士でも似たようなことはあるが、フランス人はより露骨に、ざくっと関係を断ち切る傾向が強いように感じる。

今日は学生を空港で見送ったあと、空港からトラムで3駅の場所にある安ホテルに移動した。

学生たちは行きと同じエミレーツ航空で、ドバイ経由で成田に向かう。日本到着は3月3日17時。ドバイで日本行きの便に乗るまでは、団体行動をお願いしておいた。




見送りは午後1時半ごろに終わり、ホテルにチェックインしたあと、近くのカザフスタン料理店で昼食を取った。注文したのはラグマンという麺料理。美味しかったが、こういうB級グルメでも13ユーロ(約2000円)してしまう。

昨夜のレユニオン料理も美味しかったが、言ってみればカレーライスのようなもので、それに15ユーロ(約2300円)支払わなければならない。日本は本当に外食が安い国だと実感する。高田馬場ならあの料理が1000〜1500円で食べられるだろう。



今回のニース語学研修旅行は9回目の実施だった。物価高や円安、航空運賃の高騰もあり、コスト削減のため、学校近くの契約カフェテリアでの食事を省き、学校主催の近隣へのエクスカーションの申し込みも見送った。

管理部門のエリックがとりわけ冷淡だったのも、このコストダウンが影響していたのかもしれない。滞在中に何度か顔を合わせたが、今回は「ボンジュール」と挨拶した程度だった。

遠足はすべて私が計画し、引率した。思っていたより交通費がかさんだのは誤算だった。美術館の入場料も値上がりしている。ただ、自分で引率したことで、学校スタッフがルーチンでこなすだけの遠足より、ゆったりと充実した時間が過ごせたように思う。

この研修は、毎回平穏無事に終わることがない。
今回は、二人の学生を受け入れるのに一つのベッドしかない家庭があり、現地で調整して別のホスト家庭を手配させた。また、男子学生二人が朝食を食べられていない件が発覚し、家庭訪問や学校への厳しいクレーム対応を行い、学校の管理部門との関係がぎくしゃくした。

さらに、自分自身が浴槽で転び、壁から浴槽が剥がれてしまい、修理対応をめぐって大家と気まずくなったり、学生がiPhoneをすられて警察に同行したりと、滞在中はトラブルが続いた。

こうした問題対応は確かに面倒でストレスも大きいが、それでもフランス的な現実に向き合うことで、自分の経験値が上がっていると感じる。この研修を続けているおかげで、フランス語力の維持にもなっているし、旅行計画や手配の経験は、自身の調査・研究にもおおいに役立っている。

現地のリアルに向き合っているからこそ、教室でも自信を持ってフランス語を教えられる面がある。フランス語で生計を立てている以上、面倒でも自分に必要な研修機会だと思っている。もちろん、気分転換になるし、楽しいこともたくさんある。

学生と離れ、やりきった解放感と満足感は大きい。ただ、論文がまったく進んでいない。これが憂鬱だ。科研費の不採択も、心にずっしり重くのしかかっている。

明日からはモロッコ。純粋な観光の一人旅ではあるが、この状況では勉強も少し進めなければと思っている。

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