2026年2月18日(水)第4日
今日はちょっと寝坊して、午前8時前に起床。2016年の夏、ニースでトラックテロがあった一週間ほどあと、16歳、高校一年生だった娘と一緒にニースに行き、二週間のあいだ、私はフランス語教育法の研修を受け、娘はフランス語の研修を受けた。フランス語教育の研修には二十数カ国のフランス語教員が参加したが、そのときに仲良くなった教員のひとりが、セルビア人女性のVoykaである。彼女とはその後、会う機会はなかったのだけれど、Facebookでの「友達」関係は続いていた。
Voykaの誕生日が数日前で、そのとき私はFacebookで「お誕生日おめでとう」のメッセージを送った。するとVoykaからメッセージが届き、ちょうど今、彼女は夫と休暇でニースに来ているので、時間が合うようなら会わないかと言う。それで今日の午前10時に、海岸沿いに建つニース随一の高級ホテル、ネグレスコ・ホテルの前で待ち合わせして、会うことになった。まさか10年ぶりに彼女にニースで再会できるとは思ってもいなかった。
彼女は夫と一緒に来ていた。彼女の夫はフランス語がわからないので、適宜、Voykaが通訳した。
ネグレスコ・ホテルのカフェとその奥にある大サロンは、ニースのなかで私のお気に入りの場所なのだが、彼女は行ったことがないという。それならということで、値段は少々高くなるものの、ネグレスコ・ホテルのカフェでお茶を飲みながら話をしようかと思ったのだが、カフェの開業時間は午前10時半だった。近場の別のカフェにしようかどうか迷ったが、結局、カフェの開業を待ち、ホテル前の海岸に面したところにあるベンチで30分ほど話したあと、ネグレスコ・ホテルのカフェに入ることにした。今日も快晴で、空と海の色が美しい。
互いにフランス語教員で、10年前にフランス語教育の研修をニースで一緒に受講したとはいえ、それぞれの状況は相当異なる。10年ぶりの再会で、フランス語で話が持つかなあと若干心配ではあったが、互いの国のフランス語教育の状況、家族のこと、セルビアの社会状況、10年前に一緒に研修を受けた他の人たちの近況など、話は途切れることはなかった。10時半にネグレスコ・ホテルのカフェが開業するとそちらに移動し、30分ほど話したあと、大サロンに移動。ベル・エポック期のブルジョワ文化の精髄のような広大なサロンの洗練には、彼女たちは感嘆していた。このサロンの見学は、ホテルの客しかできない。ニースの観光ポイントの穴場であり、訪れる価値のある場所だと私は思う。
11時半ごろにVoyka夫妻と別れ、学校に。今日の午後はカーニバルのプログラムの花合戦を見学することになっていて、学生たちには昨日、チケットを渡してある。その花合戦を見る前に、鍵騒動の被害者となった学生二人にランチを奢ることにしていた。
ランチの場所は、Netflixで放映されているニースを舞台とする恋愛リアリティショー、『オフライン・ラブ』に登場するメゾン・マルゴーというレストランにした。鍵騒動の二人のうちの一人が『オフライン・ラブ』の視聴者だった。昨日、家まで送った女子学生のうちの一人が『オフライン・ラブ』のファンで、鍵騒動二人とメゾン・マルゴーにランチに行くと話すと、自分も是非行きたい、ということだったので、彼女と彼女の同室者の二人も連れて、私を含め五名で行くことになった。
メゾン・マルゴーは海岸から2ブロックほど中に入った、レストランが並ぶ賑やかなところにあり、学校からは徒歩で10分ほどの距離だ。昨夜、店のウェブサイトで予約したのだが、店に着くとその予約がちゃんと機能していたかどうかは怪しい。予約なしでも入ることができる店ではある。テラス席は満席であったが、店内の外に面した席に案内された。高級レストランではなく、ニースの観光ポイントにあまたある、大衆的で観光客向きのレストランだ。料理の値段は20ユーロ前後だ。
定食があるかと思えば、アラカルトだけだった。各自パスタやサンドイッチみたいなものを注文した。私はムール・フリットを注文した。フランスのB級グルメの定番的料理で、フランス滞在中には私は一度は食べる。外に面した店内席だったが、ガラス越しに入って来る陽光を学生が嫌ったので、店の奥の、外光が入らない座席に移動した。店内にはわれわれの他にも日本人の客がいて、どうやら皆、『オフライン・ラブ』を視聴して、ここに《聖地巡礼》にやってきたようだ。
飯の味は、まずくはない。いかにもこのあたりにある観光客向きの大衆レストランだなあという感じ。メニューの値段が、サービス料別だったのは、ちょっと嫌な感じがした。フランスのレストランだとたいていサービス料込みなので。『オフライン・ラブ』ファンの女子学生はそれでも《聖地巡礼》できたことに大いに満足していた様子だったのでよかった。連れてきた甲斐があったというものだ。
食事後、カーニバルの会場に向かった。カーニバルは14時半開演となっていた。入場ゲートに着いたのは14時過ぎだったと思うが、入場待ちの長蛇の列には驚いた。例年、カーニバルは混雑はするけれど、ここまで長い入場待ちの列ができていたことはない。開始30分前に入場ゲートに行けば、14時半の開演前には会場に入ることができた。
今回、なぜこんなに長蛇の列になったのかを考えてみると、例年に比べて入場口が減らされ、二箇所だけになっていることに気づいた。おそらく警備の関係だと思う。例年は四箇所あり、入場者は分散していた。今年は二箇所に減った上に、われわれが並んだ西側の入場口に人が殺到した。そちらのほうがアクセスがしやすかったからだ。結局、入場できるまでに90分ほどかかってしまった。中に入ったら入ったで人混みで、パレードがよく見えない。ずっと立ちっぱなしなので、入場できたときには既に私は疲れていた。
4時過ぎになると、会場から退場する観客がぞろぞろ出てきて、ようやくパレードが見える位置まで移動できた。私は16時半ごろに会場を離脱して、プロムナード・デザングレの海を見下ろすベンチで休んでいた。花合戦終了後、私を人混みから見つけることができれば、先着五名でネグレスコ・ホテルに案内するとLINEにメッセージを出しておいたのだが、誰も来ない。17時頃、家に戻ろうかとベンチから離れ、歩いていると女子学生二人に声をかけられた。二人をネグレスコ・ホテルに誘った。午前午後で、今日は二回ネグレスコ・ホテルのカフェに行くことになった。
カフェのフロアは満席だったが、カウンター席でよければと言うのでカウンター席に。案内してくれた女性スタッフは、多分、午前中にも会った人だ。口調が丁寧でとても感じがいい。そのスタッフが、私に「あなたはこの辺に住んでいるのですか?」と聞いた。朝夕で、違う人を連れてきたからかもしれない。「いや日本から来た観光客です」と返答する。カウンター席の向こう側のバーテンもとても感じがいい人だった。
カフェに30分ほどいたあと、大サロンに学生を案内する。「どやっ」という感じで。学生二人もネグレスコを楽しんでくれたと思う。ニース滞在も彼女たちなりに楽しんでいるようで、安心した。
普段の授業で私は学生と話をすることはほとんどない。ニース研修旅行中はこうして学生と話す機会があるのは楽しいことだ。
大サロンおよびエレベーターで客室階を見学したあと、18時半過ぎにホテルを出た。夕暮れのニース海岸の風景の美しさに見とれる。本当にニースは美しい街だ。
夕飯は、ポワロネギとベーコンのタルト、野菜のスープ、そして昨夜の残りのチキンカレー。全て手作りだ。美味しい。また食べ過ぎてしまう。

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