二週間のニース研修も今日で終わり。午前8時ごろ起きて9時ごろからだらだら荷造りをやった。旅行の荷造りは本当に面倒くさくて大嫌いだ。荷造りが面倒で毎日移動するような旅行をするのが私は億劫だ。
マニアはすでに仕事に出ていていなかった。ギヨームと子供二人、ティメアとエヴァンが家にいた。
今回はじめて滞在したマニアとギヨームの家は、私の部屋は狭くて居心地はあまりよくなかったけれど、夫婦二人は感じがよかったし、食事がとても美味しかった。学校に歩いて30秒というのも便利だ。二週目は私の外出が続いたため、月と土の夜しか一緒に食事を取ることができなかったのが残念だった。マダガスカル料理は結局食べることができなかったのも残念。
ギヨームはモナコで流通関係の仕事をしていて、マニアはモナコでアルツハイマー型認知症の老人の介護をしている。マニアの仕事の時間帯はかなり不規則だ。子供の学校の都合などを考えながら、勤務日・勤務時間を決めているらしい。近所にはマニアの母親のほか、妹、さらに彼女の出身地であるマダガスカルにかかわりのある友人たちが住んでいて、そうした親族コミュニティで互いに子供を預けたり、預かったりしているようだ。このマダガスカルのつきあいはかなり濃い感じがする。
マニア、ギヨームともに30台半ばだと思う。ギヨームは私には温厚でいつもニコニコ話しかけるが、子供へのしつけはかなり厳しい。マニアは家事・育児をなんでもこなすしっかり者のスーパー母親といった感じだ。しつけも厳しいし、勉強の面倒も見ている。子供二人はテコンドーやサッカー、ダンスなど様々な習い事をしている。これはマニアが仕事をしているあいだの「託児」措置でもあるが、マニアがかなり教育熱心な母親であるからだろう。彼女の子供たちへの対応は実に教育的だ。
料理の腕前も素晴らしい。毎日違うメニューで、しかもみな美味しくてボリュームがある。さらにホームステイの居候の面倒もみなくてはならない。彼女は隙がないのだ。完璧すぎるように見え、もしかすると実はしんどくないのかな、と思ったりもする。
家の間取りは寝室が三つ(夫婦の部屋と子供部屋、そしてホームステイする人の部屋)と10畳ほどのリビング、それに台所だ。私のいた部屋はリビングに接しているため、夜に家族がいる時間帯はプライバシーが完全に確保しずらい点がちょっとしんどいところだった。2週間ぐらいだったし、夜だけなので、そんなには気にならなかったが。
この家族構成で、見知らぬ居候を恒常的に受け入れるというのは、受け入れ側にとってもかなりのストレスがあるように思える。受け入れ側も他人がいるとどこかリラックスできないだろう。東京の私の住んでいるところがほぼ同じ部屋数で、家族構成も同じ、そして夫婦共働きだが、ここに留学生をステイさせたいとは私は思わないし、妻も同意しないだろう。気が休まらないからだ。夫婦喧嘩、親子喧嘩もしにくくなる。他人が一緒に住むとなると短い期間ならともかく、長期間となるとストレスが蓄積するような気がする。だいたいいくら料理が得意といっても、マニアのレベルの料理を毎日、献立を変えて作り続けるということだけで大変なことだ。
ニースで語学学校のホームステイを受け入れているところは、多かれ少なかれ学校から支払われる報酬が家計の補助となっているのだけれど、マニアとギヨームについては「やむを得ず」受け入れいれてるという状況が明瞭なのが、私としてはちょっとしんどいところではあった。それでも彼らが受け入れてくれるのであれば、次回も機会あれば彼らのところに滞在すると思う。二人の人柄が信頼できるし、それに何よりも飯がうまい。
学生を春休みにニースに連れてくるのはこれが3回目だが、日本人学生たちの評判はニースのホストファミリーにはすこぶるいい。おとなしくて、コミュニケーションには難があることはあるが、礼儀正しいし、きれいに使うし、愛想がいいしということで。確かにイタリアの十代の若者を受け入れることに比べると、私が連れてくる日本人大学生は天使に思えるかもしれない。
11時に学校の送迎担当者が迎えに来るはずだったのだが、10時半に家の呼び鈴がなった。午後に空港に迎えに行く団体の予定が急に入ったので、われわれの迎え時間を繰り上げたとのこと。イレギュラーな対応だが、遅れるよりはましか。当日朝にでも連絡をくれよ、と送迎担当者に言ったら、「電話したんだけれど、お前のところは電話に出てくれなかったんだ」とのこと。
学生たちはドバイ経由で東京に戻る。私はチェックインとスーツケースの預けるところまで付き合った。アレルギーを持っている学生がエピペンの注射薬剤を機内に持ち込むのだが、その英文証明書を提示しろと言われたのが最初なんのことかよくわからなくて焦った。かなり早めに空港に着いたので、今年は余裕をもってチェックインが完了した。ドバイ空港乗り継ぎの際の点呼を、学年が上の男子学生に頼み、ほかの学生にもこのときは自分以外の人間のことも考えるように伝える。
手荷物検査場に入る学生を見送ったあと、私はターミナルを移動して、エールフランスのカウンターに。ブルターニュ地方のレンヌ空港行きの便のチェックインと荷物預けが必要なのだが、これがエールフランス・カウンターではすべて自動化・無人化されていて戸惑った。端末でバゲージクレーム・タグと搭乗券を発券してから、スーツケースを預けに行くのだが、バゲージクレーム・タグは出てきたけれど、搭乗券が発券されない。係員に聞くと、搭乗時刻の2時間前にまた来てくれとのこと。それまでにはまだ1時間あったので、空港のカフェテリアで昼飯を食べて時間をつぶした。
搭乗時刻2時間前にまたカウンターに行く。するとまた端末を操作して、搭乗券を発券するように言われる。パスポートをセンサーにかざして搭乗券を発券。それを係員に見せて、今度はスーツケースを預けに行くのだが、そこも機械化されていてカウンターに人はいない。自分でベルトにスーツケースを載せて、端末の指示にしたがってボタンを押すと、無人のベルトコンベアが動き、スーツケースを運んで行った。本当に大丈夫なのか不安になる。
15時半にニースを出て、17時半にレンヌに到着。レンヌにはまったく土地勘がない。レンヌに着いてからどうするのかも予習していなかった。高いといやだなと思いつつ、場所の感覚がないので、ホテルまではタクシーで行くことにした。町の中心部までは空港から7キロほどだとグーグルマップで確認する。
タクシー乗り場にはタクシーは一台も待っていない。本当にここで待っていたらタクシーが来るのだろうかとちょっと不安になりながら10分ほど待っているとタクシーが来た。レンヌ市街まではタクシーで20分くらいか、値段は20ユーロだった。
ホテルの外観や周りの雰囲気はかなりやばそうな感じで、話のネタになりそうなすごいホテルを選んでしまったかなと不安で暗い気分になる。しかしそれは杞憂だった。レセプションが笑顔で迎えてくれてほっとする。内部は明るくてきれいだ。部屋も清潔で明るく快適そうだった。レンヌには二泊する。
夜はホテルにレストランがあると書いてあったのでそこですませようと思って一階に降りたが、レストランがやっている雰囲気はない。レセプションで地図を貰い、近くにあるレストランが並んでいる通りを教えてもらう。外はかなり寒かった。人通りもなく、町も暗く、ガランとしていて、ニースとは全く雰囲気が異なる。ホテルは旧市街の近くにあることが確認できた。
せっかくブルターニュに来たのだからということで、土地の名物のクレープを食べることにした。サーモンのガレットがメインで、メープルシロップのガレットがデザート。そこそこ美味しかったが、ボリュームが圧倒的に足りない。これでは食事というよりスナックだ。値段もけっこう高い。
クレープ・レストランの近くにアイリッシュ・パブがあり、今日の夜はライブがあると書いてあった。聞きに行きたいなと思ったが、寒かったし、疲れもあったので、今日はおとなしくホテルに戻ることにした。
0 件のコメント:
コメントを投稿