2017年3月11日土曜日

レンヌ・カン・パリ2017春(6)3/10

寝坊して朝起きたら9時半。宿泊先の朝食の時間が10時までなので、急いで下の食堂に降りる。部屋に自炊設備が整っていたので朝食を頼む必要はなかったのだが、頼んでしまったからにはちゃんと食べなければもったいない。

今日はフランス国立図書館(BnF)に行った。パリに来たのが10年ぶりなので、BnFも10年ぶりだ。10年前の研究者用入館カードがあるけれど、当然これは失効していて作り直さなければならない。研究用閲覧室を利用するには、BnFの担当司書と面談が必要になる。研究者用カード作成には所属研究機関の英文証明書が必要だとウェブページにあったが、出国前はごたごたして用意する暇がなかった。面倒な話になったらいやだなと思いながら、司書のカウンターに行った。フランス語で書いた論文の抜き刷りと必要な文献が記載されている書誌を見せて、何とかしてもらおうと思っていたのだが、面談した司書は10年前のカードを見て「ああ、いいよ。研究カード出せるから」とすぐに研究者用入館カードを発行してくれた。担当者の裁量でこういう融通の利かせ方をしてくれるのがフランスのいいところだ。ただし官僚的な対応の担当にあたると、どんなに粘ってもダメなこともある。いずれにせよ入館証発行されて、パリ滞在中の昼間の居所は確保できた。
早速研究閲覧室に入り、午後4時ごろまでそこで過ごす。


午後4時過ぎに図書館を出て、宿舎に戻る。途中、フォーを食べた。夜に観劇するのでこれが昼飯と夕飯を兼ねることになる。中華食堂はノンストップで営業しているし、サービスが早いのでありがたい。値段も安いし、味もはずれが少ない。


フォーを食べたあと、スーパーで洗濯用洗剤や食料品を購入。

夜はパリ北部郊外のサントゥアンにあるespace1789という劇場に芝居を見に行った。ヴァンサンの『夢とメタモルフォーゼ』に出演している俳優、ジェラール・ワトキンス作・演出の作品で、竹中さんに教えてもらった。『夫婦間暴力の舞台』というタイトルの作品で、二組の夫婦(一組は若い夫婦、もう一組は中年の夫婦)の夫婦暴力の過程が描きだされる。ドラムの生演奏が音楽としてついていて、このドラムはYuko Oshimaという日本人女性が演奏している。彼女は途中、俳優としても劇に参加する。
この作品の感想についてはまた別に書きたい。非常にいい作品だった。


サントゥアンはパリ北部郊外の典型みたいな雰囲気があり、劇場に向かう行きは単なる下町という感じであったが、劇終了後の午後10時半ごろには歩道にたむろした少年たちが、歩道をバイクで走り回って喜んでいるという、周りはあまり楽しくない騒ぎ方をしていた。


サントゥアンから私の住む中華街の端までは、13番線の地下鉄でポルト・ド・ヴァンヴへ、それからトラムで東側に移動で、パリをT字の左半分のかたちに移動することになる。時間は1時間ほど、けっこうかかった。


帰ってから洗濯。洗濯は地下一階の洗濯場でやるのだが、ここからエレベータで上に上がるにはエレベータのボタンの下にある鍵穴にホテルからもらったキーを差し込まなくてはならない。ところが私がもらったキーはなぜか鍵穴に入らない。上に上がろうと階段を探して上がると、そこは一階のフロントではなく暗い中庭だった。戻ろうとしたらドアがオートロックになって戻れない。ちょっとパニックになる。

結局暗いなか、中庭を建物の壁沿いにぐるっと一周して、ホテルの入り口に到達した。
フロントに「エレベーターのキーが回らないのだけれど」と言うと、
「ああ、ちょくちょくなぜかわからないけれど、キーが機能しないことがあるんだ。替えてあげるよ」
という返事。
「地下一階に閉じ込められたと思ってパニッくったよ」
と言うと
「階段上ってくればいいじゃないか」と笑っていた。
「階段上ったらここじゃなくて中庭に出た」
「その階段じゃだめだったんだな。まあここに来れたんだからよかったじゃないか。キーを替えたから今度は大丈夫なはず」
と説得された。




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