研修の疲れも溜まっているだろうし、帰国前日でショッピングなどをしたい人もいるだろうしということで、もとよりあまり積極的にこの遠足はアピールしてなかった。
サン=ポール・ド・ヴァンスに行くのは二年ぶりで四回目だ。昨年は行かなかった。ニースからは400番のバスに乘っていくが、一昨年まではニースの海岸沿いのアルベール1世公園からサン=ポール・ド・ヴァンス行きのバスが出ていたのだが、トラム2号線が開通した今年はサン=ポール行きのバスの始発が空港近くのフェニックス公園に移動していた。それに気づいたのが昨日である。トラム→バスの乗り継ぎが必要になってちょっと面倒になった。だいたいニース市の中心からは90分ほどかかる。
サン=ポール・ド・ヴァンスは高台にあり、バスは山道をうねうねと曲がっていく。城壁で囲まれた村に行く前に、村とは道路を挟んで反対側の山のなかにあるメーグ財団美術館に行った。ミロなどの現代美術のコレクションで有名な美術館だ。サン=ポール・ド・ヴァンスのバス停の一つ前で降りてから、かなり急な坂道を20分ほど登ったところに財団の美術館がある。人が空いていてゆったりと作品を鑑賞することができた。ミロのいい作品が揃っている。ミロの絵は子供の落書きっぽいが、Tシャツやトートバックなどのグッズにするとデザインとして映える。お土産ものをほとんど買わない私だが、ここでは娘の土産にミロの絵がプリントされたTシャツを購入した。
メーグ財団美術館で1時間ほど過ごしたあと、サン=ポール・ド・ヴァンスの村内に移動して食事を取った。5人だと食事を取る場所を探すのも楽だ。グーグルマップで「お手頃」で評価の高いレストランに行ったが、昼の定食が30ユーロ弱とあんまり「お手頃」ではなかったので、その近くにあったクレープ屋に入った。クレープ屋といっても、ガレットや普通のフランス料理も出すレストランだ。ちょっと中華料理っぽいものを食べたい気分だったのだけれど、サン=ポール・ド・ヴァンスにはフランス料理とイタリア料理の店しかない。私はホタテの貝柱とエビの串焼きを食べた。今日のオススメメニューとして店員に進められたものだ。見た目もフランス料理っぽくきれいでおしゃれで、味もおいしかった。他の4人はそば粉のクレープであるガレットとデザートを食べていた。私はデザートを取らず、コーヒーのみ。
5人だけの外出だと気分的な解放感が違う。すごくゆったりした気分で食事を楽しむことができた。食事後は村内を5人で途中、お土産物屋に入ったりしながらぶらぶら散策。人が多すぎなくていい感じだ。石造りの道と家々がとても風情がある。画廊もたくさんあっておしゃれで落ち着いている。今日は曇り空だったが、その空の色とも町の風景はマッチしているような感じがした。ジャン=ミシェル・フォロンがモザイク画を残した礼拝堂と町の歴史をマネキン人形で見せる博物館を見たあと、40分ほどの自由時間をとり、ばらばらになった。礼拝堂のそばの教会もいい。街全体が歴史博物館のような趣がある。
サン=ポール・ド・ヴァンスからニースに戻ったのは午後5時過ぎ。ニースの海岸に行って30分ほど海を見てから家に戻った。曇り空の下のニースの海もいいもんだ。空と海がとけあってターナーの絵のような風景だった。
夕食は家で食べる。マダガスカル料理だった。干しエビのだしで煮込んだスープ。これをご飯にかけておじやのようにして食べる。ニースではおいしいものをたくさん食べたけれど、私は家の飯が一番好きだ。今日のご飯は、フランス語よりむしろ日本語で「うーん、うまい」と言いたくなるような料理だった。実際に「うまい」と思わず声に出していってしまったのだが。
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